爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

都道府県魅力度ランキングで、茨城が最下位脱出といった話は流れるが

都道府県魅力度ランキング」というものが発表され、ずっと最下位だった茨城県が脱出して代わりに栃木が最下位と言った話がニュースで流れています。

 

これはあくまでも民間の調査会社の「ブランド総合研究所」というところが実施した全国各地でのアンケート調査の結果らしく、「全国の都道府県と1000の市町村から認知度や魅力度、イメージなどの84項目からなる”地域ブランド調査2020”を実施し、3万1734人分の有効回答を得た」というもので、その調査方法と結果のまとめ方次第で、結果は大きく左右されると思いますが、これまで15回実施しているということである程度の調査認知度は上がっているのでしょう。

 

これについては、当の研究所とダイヤモンド・オンラインが出しているものが一番の元ネタと言えるでしょうか。

diamond.jp

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まあ調査方法の詳細を見ればいくらでもケチは付けられそうですが、面倒なのでそこまではしません。

しかし、点数だけ見てもダントツの北海道の60.8というのはすごい数字で、2位の京都を10ポイント以上離しています。

10位の石川県まではそこそこの点差がありますが、下の方を見れば20位の秋田県が20.0で最下位の栃木県が11.4、なんと1位の北海道と2位の京都府とのポイント差より小さい中に27府県がひしめいているということになります。

 

こんなもの、ちょっとのことですぐに逆転するんじゃないのと思いますが。

 

しかし、下の方の県では結構縁もゆかりもあるところが続出です。

栃木県は叔父が住んでいたところで何度も行ったことがあります。

茨城県は弟の嫁の出身県、岐阜県は父方の祖母の出身県であり父が少年時代を過ごした場所、群馬県は私自身3年ちょっと住んでいたところ、埼玉県は私が生まれた県、等々。

どこも良い所であるのはよく知っています。

 

まあ、上位のところも結構思い出が深い所が多いのですが。

 

しかし、こういった話が出てくると暇な県庁なんていう所では対策会議なんかが開かれるんだろうな。

欠点として指摘された場合はそれを直していくという努力は必要でしょうが。

行政サービスなどはかなり格差のあるところもあるので、それは他の都府県を参考にしてもらいたいものです。

 




小島正美さんの「フードニュースオンライン」より「低温調理は食中毒にご注意」

小島正美さんが食品についてのニュースをあれこれ解説している「フードニュースオンライン」ですが、今流行の「低温調理」についてです。

foodnews.onlineレストランでもこれを売り物にしているところも出ているようですし、家庭向けに調理器具や解説本もあるようで、かなり注目を集めています。

 

記事は仮想の?女性と小島さんが対話する形で書かれており分かり易いように作られていますが、情報源は小島さんが収集したものでしょう。

 

その中のレシピに「60℃30分」で湯煎というものがあったようで、これでは危険ということを示しています。

 

殺菌するための必要な加温時間が示されていますが、「75℃以上で1分」が「63℃で30分」と同等というのは、意外な感じを持たれるかもしれません。

さらに「60℃だと71分」というのはさらに驚かれることでしょう。

わずか3℃下がるだけで時間が40分以上も長くかかるとは。

 

しかも一番肝心なところは、これが「中心部の温度」であることです。

湯煎の湯温ではなく、食品の一番奥の部分がこの温度にならなければいけないということはしっかりと考えておくべきことです。

 

さらに、この殺菌条件は通常の細菌でのものであり、「豚肉やジビエには熱に強い最近がいるので低温調理には向いていない」と書かれています。

 

いくら低温調理で美味しくなったといっても、最低限こういった注意は守っていただきたいものです。

「困ったクレーマーを5分で黙らせる技術」援川聡著

お客様からのクレームは貴重な企業運営のための資料とも言えますが、「クレーマー」となるとそうも言っていられません。

ある大手食品メーカーによれば、年間の消費者からの電話が2万件あったそうですが、そのうち80%は問い合わせ、ご意見というのが10%、苦情が10%です。

その苦情のうち、会社側に責任のあるものは数%のみでした。

ほとんどが、消費者側の勘違い、思い込み、誤解などから来るものです。

 

しかし、中にはクレームで何らかの金品をせしめようとする悪質クレーマー。

そして、会社側を困らせようとするだけが目的のクレーマーなど、心してかからなければ大変なことになる相手も出現します。

 

著者の援川さんは警察勤務のあと流通会社で渉外担当、そして悪質クレーム対応の会社を立ち上げたという方で、こういったクレーマーの対処について指導もしています。

 

金目当てのクレーマーはほとんどそれが稼業のような連中ですが、彼らの手口をしっかりと把握し、会社として統一した見解をもって対処しなければ付け入られます。

それが無くて現場の店長任せにしてしまい、追い詰められた店長さんがクレーマーを刺殺してしまったという事件も起きたことがあるそうです。

全社的なクレーム対応方針をしっかりと決め、それを社員全員に徹底して当たることが必要です。

 

具体的な対応としては、5つのポイントを提示しています。

1、経緯をしっかり録音・記録する、2、安易な約束やいい加減な言葉を口にしない、3、交渉には複数で、4、自宅電話や携帯電話の番号は絶対に教えない、5、交渉のスタンスはあくまでも対等・平等のつもりで。

まったくごもっともと言うことでしょう。

特に、家を訪問させる時に「近くまできたら電話して」と言って担当者の携帯番号を聞き出すという手口があり、それで分かった携帯に朝晩問わずに電話してくるということもあるそうです。

 

こういった金目当ての悪質クレーマー以外に、店との交渉がこじれて悪質化してしまうクレーマーも多いようです。

最初の企業側の対応がまずいということも多いようで、現場の担当者の細かい気づかいが必要になります。

ただし、こういった「グレーゾーン」のクレーマーも徐々に増加し、さらに「クロ」に近づいてしまうことも多いようです。

公務員であることを明らかにしながら、詐欺まがいのクレームで金品を要求したという事例もあったとか、油断はできません。

 

会社としても、担当者としてもきちんとした心構えと準備が必要なのでしょう。

 

 

八代市立博物館に行ってきました「知られざる肥後の絵師」

八代市立博物館「未来の森ミュージアム」に散歩をかねていってきました。

10月13日より新たな展示として「知られざる肥後の絵師」と題し、博物館のコレクションの中から江戸時代から明治にかけての主に肥後藩の御用絵師であった人々の作品を展示されているものです。

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今年の博物館は大変な状況で、コロナ禍のために予定していた展示内容を大きく変えており、その結果今月は「釈迦院と肥後天台の宝」を開催予定だったのですが、それがまた7月の熊本豪雨の影響でできなくなり、急遽手持ちのコレクションを展示するという窮状です。

 

実は私は博物館友の会の会員になっており、応援の意味でも見ておきたいと思って出かけたのでした。

しかし、現在は八代市民は無料で見学できるということで、あまり応援の意味もなくなってしまいました。

 

なお、展示内容の「肥後の絵師」の絵はピンチヒッターとはいえなかなかの作品ぞろいで、肥後藩の文化面での実力も十分に高かったことを示すものと思います。

 

なお、同時開催の「松井コレクションの能面」も、肥後藩家老で八代城主だった松井家の所蔵していた多くの能面の中から逸品を展示しており、こちらも見て損はないものでした。

まあ、お近くならどうぞと言いたいところですが、ほとんどの方は無理でしょう。

 

日本の裁判所に期待してもダメとは思っていたが、非正規労働者に厳しい判決

非正規労働者の賃金などの待遇が正規と非常に差が大きいという裁判で、政府の政策と比べてもはるかに後退する判決が出ました。

www.tokyo-np.co.jp

「不合理だとは言えない」とか「仕事内容に差がある」といった、スガの答弁よりもひどいような理由で門前払いです。

 

アメリカの最高裁判事に保守派が多くなったとかで問題視されていますが、日本の最高裁などそれも天国のように見える「超保守派」ぞろいのようです。

 

この判決がすべての裁判の判断のもとになる判例となるでしょうから、当分の間は非正規労働者の不当な待遇についていくら裁判を起こしても無駄になるでしょう。

 

「仕事の内容に差」などと言っても、その実際のところは当事者でなければ分からないことも多いでしょうから、今後は雇用者側の言うがまま、「この点で差をつけているから非正規の給与は安くしている」といった言い訳に異議を唱えることも難しくなるでしょう。

それが、どんな小さな点であっても「本質的な差がない」ということを立証することは困難になります。

 

どういった問題でも裁判所に決めさせるといった「司法頼み」は無駄な努力に終わるということは、特に「原発の稼働差し止め」などの問題の際に何度か書いてきました。

しょせん、裁判所は法律の解釈しかできないと考えるべきであり、原発稼働の可否などはとてもその能力の及ぶところではありません。

下手に科学的な判断をしても恥をかくだけでしょうし、科学者の意見を聞こうものならさらに馬脚を露すというものでしょう。

 

こういった問題は、政治で決めるしかありません。

原発稼働に反対の政府を樹立するしか方法はないと考えるべきです。

 

しかし、今回の労働者の処遇問題はまさに労働関係法規の問題です。

もしも現在の労働法の規定に問題があればそれを指摘するべきものであり、司法のやるべき仕事そのものでしょう。

もしかして、裁判所の非正規労働者の処遇がひどいのを是正させられるのが怖かった?

 

司法の在り方ということも考えるべき課題なのでしょう。

憲法改正もこういったところから考えていく必要があります。

「内田樹の研究室」より「(あまり)書評を書かない理由」

内田さんが「現代短歌」という本から頼まれて「よい書評」という文章を書いたそうです。

それが掲載されています。

blog.tatsuru.com

どうも現代の書評というものは、その作品の瑕疵を指摘する方ばかりに向いているようです。

それが嫌な内田さんは書評そのものを書く気があまり出ないのだとか。

 

村上春樹さんも「ノルウェイの森」を書く前はあまり批評されることもなかったため、自然でのびのびした文章を書いていたのが、ノルウェイの森が売れたために多くの読者を獲得したと同時に多くの批評家の眼も呼び込んでしまったということです。

それ以降はのびのびした雰囲気は消え、文体は重厚になったように見えるが慎重に書くようになったとか。

 

少年時代の内田さんは、朝日新聞に連載されていた石川淳さんの書評が面白くて読んでいたそうです。

書評とはそのようなものだと思い込んでいたら、80年代頃には「寸鉄人を刺す」ような切れ味の鋭さを競うようなものばかりになり、書評自体あまり読まなくなったそうです。

批判ばかりされると、作家の方でも書く意欲が無くなってくるのではと心配しています。

 

私もこのブログは「読書記録」ということで書いていますので、ちょっと気になるところです。

まあ、私の文章などは「書評」などと言うものではありませんので、幾分かはその不安も薄れますが。

それでも、あまりひどいもの以外は本の批判は多くはないつもりですが、いかがでしょうか。

 

神奈川で異臭騒動が広がる。でも「地震の危険性」はちょっとね。

神奈川県東部、横須賀や三浦でしばらく前から異臭が発生しているという騒ぎがありますが、それが横浜にまで広がったとか。

縁もゆかりもある地域ですので、ちょっと気になります。

ただし、どこで発生するかが分からないため、大規模な捕集装置でサンプリングして分析するというわけにも行かず、なかなか原因がはっきりしないようです。

 

(人間の嗅覚はイヌなどと比べればはるかに劣るとはいえ、その敏感さは非常に希薄なガスなどの臭いでも判別でき、科学的に分析するには難しい濃度でも問題となります)

 

横浜駅周辺など、横浜市内でまた異臭 大気サンプル採取 | カナロコ by 神奈川新聞

このニュースの中で、「ガスのようなにおい」というのが曲者で、いわゆる「ガスの臭い」として普通に認識されるものはガス漏れを検知されやすくするために人工的に加えられた物質の臭いです。

www.kiryu-gas.co.jpガス供給業者によって違いはあるのでしょうが、ターシャリーブチルメルカプタン(タマネギの腐った臭い)やジメチルサルファイド(ニンニクの臭いの一成分)などが使われているそうです。

 

したがって、その地域の人(目撃者とは言わないんでしょうが)が「ガスの臭いがした」と言っても、ガスに付加されている物質の臭いである可能性が強いでしょう。

 

これを取り違えている人も居ます。

文献が示す「異臭」と「地震」の関係 神奈川で相次ぐ異臭騒ぎ…関東・阪神淡路大震災の前後に“ガスの記録” (1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

かつての関東大震災の前にもこの地域で天然ガスが噴出したという記録があるため、地震が近いかもというわけです。

 

確かに、関東地方南部には広く天然ガス田が分布しています。

南関東ガス田 - Wikipedia

しかし、そのガスには臭いはついていないでしょう。

何らかの物質が伴って噴出することもあるでしょうから、その臭いはするかもしれませんが。

 

これはやはり、こちらのニュースで引用されている東海大学海洋学部の先生の話の「青潮」の発生と関係するという方が近いのでは。

news.livedoor.com青潮も単細胞のプランクトンでしょうが、こういった生物は様々な有機化合物を作り出すことがあります。

(石油や天然ガスも古代のプランクトンが作り出したものが集まってできたものと考えられます)

こういった物質は様々な臭いでしょうから、その発生量が大量になれば臭いもひどくなるでしょう。

 

青潮説」が間違いだとしても、それは調べれば分かるのでは。