今ではデジカメというよりはスマホ内蔵カメラばかりという情勢ですが、ほんの少し前にはまだフィルムカメラが生き残っていたわけです。
この本が出版された2003年にはまだデジタルに踏み出すことができない人も多かったのか、そういった人向けにデジタルの使い方、フィルムカメラとの比較などを説明する必要があったのでしょう。
著者のロブ・シェパードはアメリカの専門誌の編集者ということで、写真家では気付かないようなところまでしっかりと説明されているようです。
今となってはかなり古い内容で、カメラやパソコンのスペックも昔懐かしいものです。
200万画素が普通とか、パソコンメモリーも256MBは欲しいとか、その辺はこの20年弱でさらに進歩はしています。
しかし、写真を撮る技術というものはほとんど変化はないようです。
自動化が進み簡単に写真が撮れるようにはなっていますが、やはり大切なのは露出の適正化でしょう。
デジカメではその当時から「ヒストグラム表示」というものができるようになっており、これを上手く使いこなすことが必要と言う指摘はもっともです。
また、ホワイトバランスを意識するようになったというのもデジタルならではのことでした。
フィルムカメラ時代の画像の色調調節というものは、プロの写真家にとって大きな問題だったようです。
しかしそれを的確に判断する基準がなく経験的にフィルターを交換するといった対応でした。
それが、デジカメではオートホワイトバランス機能がついており、たいていの状況ではそれに任せておけば良いようになりました。
ただし、オートでは失敗する場合もいくつかあり、日の出、日没、電球など特定の光源の場合はそれ専用のモードを選ぶなどの対策が必要となります。
もう今となっては忘れかけていますが、デジカメの最大の利点は「現像を待たずにその場で確認ができる」ことです。
このおかげで、旅先での撮影もすぐに確認ができて失敗していたらすぐに撮りなおすことができるようになりました。
フィルム時代にはこれで失敗したり、失敗を防ぐために何通りもの条件で撮ったりと苦労したものでした。
また、空港などでの保安検査でフィルムが感光してしまうということもなくなりました。
ただし、デジタル時代の注意点は「バッテリーの予備を十分に用意すること」だそうです。
世の中すべてがデジタル化してしまった現代、その原点に返って見直してみるのも必要かもしれません。