爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

五平餅の話

ja.wikipedia.org

テレビのCMで見かけ懐かしくなりました。

 

長野や岐阜方面に出かけた人にはおなじみかもしれません。

餅とは言いますがうるち米を炊いて少し潰したものを丸め(御幣型に作るところもありますが、地域によって違います)胡桃味噌ダレ(これも地域によって差がある)を付け、焼いて食べるものです。

 

私の両親が長野県南地方の出身ということで、母も手作りしていましたし、長野の親戚を訪ねると出してくれることも多かったので懐かしい味です。

 

母のタレの作り方は胡桃を潰したところに味噌を加えて混ぜるというものでした。

そこに卵黄を少し入れるというのが秘伝だったようで、おいしかったものです。

ただしうちの家内(九州出身で長野には縁もゆかりもなし)から見ると生の卵黄を加えた味噌は衛生的に気になったようです。

しかも余ったタレを冷蔵庫で長く保存し少しずつ食べていましたが、まあ食中毒になることもなかったようです。

 

そんなわけで、母も亡くなってもう3年近く経ちますが、二度と口にできない味となってしまいました。

 

長野県南という地方は今は中央高速のおかげで工場も数多く進出し産業も栄えていますが、かつては農業も振るわず貧乏な地域でした。

米も作っていましたがそれほど多く取れるわけでもなく、そういった地域にふんだんに米を使った五平餅があるというのは不思議な感じです。

それだけよほどのハレの行事でない限り作ることはできないものだったのでしょう。

 

私が結婚後初めて母の実家に一家で行った際、「初入りだから」(たしかそういう言葉だったと思います)と言って五平餅を出してくれた親戚があったのも思い出します。

 

それからかなり後になり、関東の工場に勤務していたころ、社内旅行で長野まで行ったことがありました。

バスでの移動で途中諏訪のサービスエリアで休憩、五平餅が売られているのを見て思わず買ってしまいました。

形も味も慣れ親しんだ飯田地方のものとは少し違いましたが、やはり懐かしいものでした。

 

つい最近のNHKの朝ドラで岐阜県東部地方が舞台となったものがありましたが、そこでもやはり五平餅がふんだんに取り上げられました。

話によれば、五平餅の形で御幣型と円筒形の境が岐阜県の中津川地方にあるようです。

そういったことが話題になるというのも、あの地方の人々にとって五平餅が重要だということでしょう。

 

簡単に食べることができなくなると、食べてみたくなるものなのでしょうか。

(ネットでお取り寄せができるというのは十分に承知しています。しかしそうまでして食べたいかというとそうでもないというのも複雑なところです。)