人間の肉体を賛美してきたギリシア・ローマ文化から、中西部ヨーロッパに重心が移った中世になると、まるで肉体と言うものを忌避しているかのような文化に変容してしまいます。
そういった中世と人体というものについて、歴史的というよりは哲学的な考察がされています。
かなり高度な内容であり、よく分からなかったというのが本当のところです。
中世の時期は、おおむね通常言われている5世紀から15世紀までとしていますが、著者は本質的には18世紀まで、つまりフランス革命と産業革命が始まるまでは中世であるとしているようです。
ここにはルネサンス期も含まれますが、ル=ゴフはこれも中世のルネサンスであるとしています。
人間の身体と言うものは精神の入れ物に過ぎず、蔑まれることになりました。
身体に関わる多くのことがら、食欲や性欲などはさげすむべきものであり、さらに肉体労働まで苦役としか捉えられないこととなります。
さらに、ペスト禍に代表されるように、病気などであっという間に死んでしまうのが中世でした。
そこには肉体を賛美するよりは来世を考えるしかないということにもなったのでしょう。
しかし、大きな変化が起きたのは近代になってからですが、中世の間にも徐々に身体を見直すという変化は起きていたようです。
それが革命により噴き出したということでしょうか。
極めて難しい内容でした。