爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

全世代型社会保障とは

安倍内閣はこれまでの社会保障制度が老人に偏っているとして、若年層をも対象とした全世代型社会保障制度に移行するとうたい、保育料無料や教育費補助と言った制度を定めようとしています。

安倍内閣の支持率が高いのは若年層であるという分析がありますので、その支持層に媚を売った政策であることは間違いないでしょう。

 

しかし、全世代型といった社会保障制度の拡充は、北欧型社会保障制度と言った、「高福祉高負担」制度に近づけようとしているかにも見えます。

 

www.kyoritsu-wu.ac.jpこのサイトで見ると、社会保障制度にはいくつかの傾向があります。

北欧型(元来はイギリス型)

 高福祉高負担、財源の中心は税金。ただし所得税は高くさらに間接税も高額。

大陸型

  社会保険が中心。保険料は労使双方が負担。賃金による格差が大きい。

アメリカ型

 公的な保障は少ない。

 

日本は大陸型の性質が強いものであったようです。

ただし、公的資金の支出比率が高く北欧型の性格もある程度含まれているようです。

 

ただし、社会保障といっても様々なものがあり、年金、健康保険、失業保険、生活保護などが現在までの日本の社会保障の主なものでしょうが、北欧型ではこれに教育費、保育費なども含まれます。

 

北欧型といってもスウェーデンノルウェーなど何カ国かありますが、その内容は若干違いがあるようです。

www.leopalace21.jp上記のサイトの中に「国民負担率」と言う数字があります。

その表が以下のものです。

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スウェーデンの国民負担率76%というのは非常に高いと感じますが、ノルウェーの56%は日本の37%に近いとも言えます。

 

日本はこの負担率で特に年金と健康保険を主にやってきたのですが、それが年と共に増大してきました。

その対応を収支の両面から考えていかなければならないはずなのに、それを正面から論じることなく若年層にバラまくかのような「全世代型」を打ち出してきたわけです。

 

財政健全化などはもはや全く考慮せず、使いたいところには使い放題、足らなくなれば国債を発行すれば良いという、お先真っ暗、自分の任期の後はどうなれ山となれの政権には、社会保障の財源を問うのがバカバカしいほどですが、このような政策で100年先どころか5年先の日本社会すら見通すことはできません。

まあ、5年先は安倍内閣ではないことは間違いないのでどうでも良いのでしょう。

 

社会保障を全年代に広げるという方向自体は特に若年層には心地よい響きでしょうが、その財源がなくなれば年金を減額しようとするしかないでしょう。

医療費も削減が避けられず、医師会側も患者側も大きな影響を被るでしょう。

 

自分の選挙目当てとしか見えない政策で、今後数十年も影響が出るようなことをしようとしているとしか言えません。

 

ただし、国債はいくら発行しても大丈夫と言うようなトンデモ理論?、MMT(現代貨幣理論)というものがあります。

 

現代貨幣理論 - Wikipedia

 

もしかして、安倍はすでにその理論を応用することに決めたのか。

このアメリカ発の理論は、日本がいくら国債を発行しても影響ないように見えることも構築の基礎に置いているということです。

いつまでも続くはずはないのですが、どうせこういった議論をもてあそぶ連中にはここ数年だけが考慮の範囲なのでしょう。