オリンピック聖火リレー(とは言うものの聖火”顔見世興行”)、その燃料に福島県の工場で作られた水素を使うことで環境と復興をアピールするとか。
this.kiji.is「水素は燃えても二酸化炭素を発生させない」から環境に良いと言うことですが、その生産体制というものを考えればそれが大嘘であることはすぐに分かります。
浪江町で水素生産ということですから、下記のプロジェクトでしょうか。
https://www.town.namie.fukushima.jp/uploaded/attachment/9142.pdf
資源エネルギー庁や経産省と東芝エネルギーシステムなどが組んでのプロジェクトのようです。
システム概要は以下の通りです。(上記の紹介PDF内の説明図を引用)
確かに水素が分離されてから後の工程では水素と酸素を反応させてエネルギーを取り出すだけですので、水しか発生しません。
しかし、「再生可能エネルギー由来電力」(これが決して”再生”していないことは何度も書いています)で水を電気分解し水素にするという工程は当然ながら効率は100%になるはずもなく、多くのエネルギーを無駄に捨てることになります。
さらに、この工程の各所に登場する関連装置の大げさなこと。
これらを製造するのにもエネルギーを大量に使用しているのは間違いありません。
そして、その過程からも大量の二酸化炭素を使っているのも当然です。
水素は危険だからということで水素使用が進まないのも確かですが、それ以前にこれは「エネルギー源」ではないということを忘れてはいけません。
電力とは異なり「持ち運びできるエネルギー」であるのは確かですが、その実体はエネルギーを形を変えたものに変換しただけのものであり、その効率は非常に低いものです。
ほとんど普及が進まないのも当然なのですが、その最後の悪あがきにオリンピックを利用しようとする悪辣さには呆れます。
さらに「福島県浪江町の工場」まで絡めて津波災害からの復興まで取り込もうとは。
悪知恵もここまで徹底すれば大したものかもしれません。