爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

ダムで本当に洪水予防ができるのか、事前放流が可能なのはわずか4割だけ

このところの豪雨の増加で、ダムの治水効果というものが注目される一方、昨年の台風の時にはダム上流での集中豪雨でダムの緊急放流が迫られ、その大量の水で下流に洪水の危険も迫るという事態も発生しました。

 

ダムで一番怖いのは、上流に大量の雨が一気に降り通常の放水口からの放水だけでは間に合わずに、上部から水が溢れ出しその結果ダムの決壊にもつながるということです。

そのためにダムへの雨水流入が増加すれば下流の状況がどうであれ緊急に放水することが必要になります。

また、それを避けるために大雨が予測されるようになれば事前に水位を下げておく「事前放流」も検討されるべきです。

 

しかし、今日の報道によれば、その事前放流が可能なのは現存のダムのわずか4割に過ぎないということです。

www.tokyo-np.co.jp

元々、ダムの建設目的としては農業用や工業用の水利を確保するためというのが一番の重要項目でした。

しかし、農業の衰退で農業用水の必要量も減り、工業でも水の利用合理化が進められて必要量が減少していきました。

それでもダムが作りたい勢力が作り出した建設目的が「治水」とも言えます。

確かに、ダム上流に降った雨を一時的にでも溜めておき、下流への放流が最悪の時に重ならないようにできればその効果もあるのでしょう。

しかし、そんなにうまくいく時ばかりではありません。

下流で堤防決壊の恐れの強い時に、ダムも満水を超えそうになり緊急放水をしてしまい、結果的に決壊を招いたということも無いとは言えません。(あまり問題化されてはいませんが、西日本豪雨の時に愛媛で死者が出ているそうです)

 

その危険性を少しでも減らそうと、「事前放流」を強化しようとしたのでしょうが、上記記事によれば、そもそも設備的にそれが可能なのがわずか4割ということです。

 

呆れ返ってものも言えないといったところでしょう。

そもそも、事前放流に必要なダム下部の放水口が設置されていないとか。

 

さらに、事前放流で水位を下げたとしても、予報どおりに大雨にならずに雨量が少なかったら「利水」用の水量が確保できず、農業用水や工業用水の不足という事態もありえるということで、なかなか踏み切れないという事情もあるようです。

 

ダムに治水は期待できないということは、緊急放水で死者という事実だけでも明らかだと思うのですが、そうは考えられない人が多いのでしょうか。