今年のスポーツ界の出来事の中で大きかったのは、ラグビーワールドカップの開催だったでしょう。
日本チームの活躍というのも大きかったのですが、あまり知られていなかったラグビーというスポーツについて、そしてそれの基本にあるイギリスを中心とした国々の文化というものにも、日本人の多くが初めて触れたと言えるかも知れません。
その中で大きいのが「ノーサイド」ということでしょう。
ラグビーでは試合が終われば「ノーサイド」つまり敵も味方もなく良い試合を称え合うと言われています。
今回のワールドカップでも、それにふさわしかったものと、そうでもなかった試合と両方が見られたようです。
ふさわしかった典型例として、スコットランドと日本の試合を取り上げられていました。
bunshun.jp文春オンラインでこの記事を書いているのが、現在は大学教授という神田洋さんですが、スポーツ記者も経験されていたそうです。
これまでもワールドカップではほとんど予選突破を果たしていた強豪スコットランドが、新興の日本に敗れて予選敗退となってしまったのですが、その試合の後でもスコットランド選手は堂々としており、主将のレイドローも日本のチームを讃え涙を見せたのはほんの一瞬だったそうです。
もちろん、日本チームも勝利を喜んだのは一時でスコットランド選手と健闘を称え合いました。
「それにひきかえ」と神田さんが続けるのは「ドーハの悲劇」でサッカーワールドカップ出場を逃した1993年のサッカー日本代表でした。
試合終了後、ほとんどの選手がそのまま泣き崩れ、ラモス瑠偉だけが他の選手を立たせようとしていました。
勝利したイラクの選手や監督と挨拶をしたのもラモスだけだったようです。
このような「敗戦の涙」が典型的なのが高校野球で、甲子園の大会で試合終了後の勝利校の校歌斉唱の時には敗者の何人か(特に敗戦の責任が一番ありそうな選手)が泣き崩れ隣の選手に支えれるという姿は必ず見られるようです。
このような姿はすでに100年以上前の大学野球の試合でも見られたとか。
日本では伝統的とも言えるようなもののようです。
ただし、そうでない高校もあるようで、沖縄の興南高校では監督さんの指導でしょうか、試合終了後は涙を見せずに相手校と挨拶をするということになっていたようです。
それがその後の甲子園春夏優勝につながっていたのかも。
その後強くなるかどうかということは分かりませんが、まああまり見ていて格好良いものではありませんので、泣き崩れることはないように願いたいものです。