爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「国難の正体 世界最終戦争へのカウントダウン」馬渕睦夫著

世界支配はアメリカ政府が行っているというイメージでしたが、実際はグローバル企業や軍産複合体というものが操っているということがようやく分かってきました。

しかし、実はその背後にはイギリスの金融資本家というものがずっと隠れて支配を続けているというのが、本書の著者馬渕さんの主張です。

馬渕さんは外交官として各地に赴任し、その後防衛大学校の教官もされたという、世界の裏側にも詳しい方ということです。

馬渕さんの見るところ、イギリスの帝国主義を操ったロスチャイルドなどの金融資本家がイギリス政府が覇権を譲ってアメリカがその座についたかのように見せた期間の間、常に自分たちの利益を最大にするように国際政治を操ってきたという、壮大な陰謀史観とも言うべき事実があったということです。

 

そんなものは妄想に過ぎないというのが、通常の判断でしょうが、まったく揺るぎないその信念で世界近代史を見ていくと、実に明快に筋が通る解釈ができるようです。

 

その解釈によれば、現在のグローバル経済第一主義といった世界情勢はようやくイギリス金融資本家を中心とした一派が世界を握ることが達成される寸前まで来ているというものだということです。

そして、いまだにその風潮に強く反対しているのがロシア政府、さらに日本の政府以外だそうです。

中国は実は一貫してアメリカと協力する体制になっているとか。

 

近代、現代の世界史というものは、ずっとグローバル金融資本を目指すロンドンシティーの資本家たちの思惑通りに動かされてきました。

そもそも、共産主義の東側というものはユダヤ人により指導されたグローバル主義を形を変えて実現したものだそうです。

したがって、東西冷戦なるものもグローバル経済主義の下僕であるアメリカ政府とこれも姿をくらましたグローバル共産主義との間の八百長だったということです。

中華人民共和国成立もアメリカが陰謀をめぐらして実現したものだとか。

 

その後の冷戦や中東戦争、数々の戦争もすべてグローバル資本家の手先であるアメリ軍産複合体が起こした八百長戦争だそうです。

 

その世界支配にもっとも邪魔になったのが日本であり、それを叩き潰そうと周到に準備され実行されたのが太平洋戦争であり、それは実現しました。

日本のナショナリズムを完全に叩き潰しアメリカの下僕とするために多くの施策が実行されかなりの成果を上げています。

小泉政権規制緩和と称するグローバル資本の傘下に組み入れる施策でようやくそれがほぼ実現しそうな情勢になってきました。

それでも、世界の中でグローバル資本家の動きを妨害しているのはロシア政府以外には日本くらいのものだそうです。

 

明日の日本が生き残るためには、ロシア政府とともにグローバル資本の陰謀を遮るようにすべきだというのが馬渕さんの結論でした。

 

まあ、そんなの考えすぎと一蹴されるような陰謀論のようです。

しかし、詳細まで考えられて挙げられている様々な事例を見ていくと、意外にこちらの方が真実ではないかという思いがしてきます。

 

1945年、日本降伏後に中国の内戦は激化しましたが、アメリカ政府は蒋介石の援助をせず、共産党の統一を密かに後押ししました。共産中国の統一を実現させ形だけの米中の対立を演じました。様々な証拠が存在します。

 

朝鮮戦争では、マッカーサーが望むような戦略はことごとく否定され、勝つことを封じられました。

実際の戦力どおりの結果ではなく、元通りの38度線で対抗する形を残すのが目的でした。

 

アメリカの世界戦略を決めているのは大統領やホワイトハウスの閣僚であると考えられていますが、実際は「外交問題評議会」(CFR)です。

そのメンバーとしては、かつてはロックフェラー財閥のデイビッド・ロックフェラーが含まれていました。

その他、1500人ほどのメンバーはすべてアメリカ人であり外国人は参加出来ません。

しかし、このCFRの創立時、1921年にはこれはイギリスの王立国際問題研究所の支援を受けて設立されています。

そのメンバーは銀行家や実業家がほとんどでした。

この性格は今でも一貫して残っており、実はイギリスの金融資本家の影響を強く受けています。

 

アメリカの中央銀行と呼ばれる連邦準備銀行は、民間銀行であることはよく知られています。

その理由としてはさまざまな言い訳がされていますが、実際にはアメリカ政府には貨幣の供給権限が無いという、怖ろしいものです。

そして、その連邦準備銀行の実権を握っているのも同じ勢力です。

 

WTO,IMF世界銀行といった組織も、すべてグローバル金融資本勢力の影響下にあり、その戦略のために使われています。

彼らのやっていることをみてもその意思は明らかでしょう。

 

「そんなの考えすぎ」とは言えないように感じてしまいます。

 

[新装版]国難の正体 ~世界最終戦争へのカウントダウン

[新装版]国難の正体 ~世界最終戦争へのカウントダウン