NHKスペシャル「人類誕生」は、2018年に三回放送されました。
近年、人類の進化については相次ぐ新発見で学説が大きく塗り替えられています。
そのこれまでの通念がひっくり返ったという意味で「大逆転」と題しました。
それを、ゲームクリエーターに依頼して作り上げた「CG」で見てすぐに理解できるようなアニメーションとし、番組を作り上げていったそうで、本書にもそのCGが紹介されています。
監修者として国立科学博物館の馬場悠男さんと、海部陽介さんを起用していますので、最新の学説が間違いなく取り入れられているものと思います。
地球上に人類の祖先が現れたのは、およそ700万年前。
それはそれ以前から進んでいたアフリカ大陸東部の大規模な地殻変動により、大地溝帯とその両側の火山の山脈が形成されたことにより、それまで熱帯雨林が広がっていた山脈東側が乾燥化し、草原に変わったことにより促されました。
密林の中では樹上での生活であったのが、草原では2足歩行が有利となります。
その最初の種が「アルディピテクス・ラミダス」ラミダス猿人でした。
240万年前には最初のホモ属のホモ・ハビリス、そして180万年前にはホモ・エレクトスが現れます。
彼らは石器を使い始め、それまで大型肉食獣に襲われ食べられる側だったのが、狩りをするようになります。
そして、彼らはアフリカを出て世界の各地に広がっていきます。
アフリカに残って進化を続けた中から、ホモ・ハイデルベルゲンシスが現れます。
彼らがネアンデルタール人や現生人類ホモ・サピエンスの祖先となりました。
ネアンデルタール人はアフリカを出たハイデルベルゲンシスの中から進化しました。
その主な分布域はヨーロッパを中心に中央アジアまででした。
現生人類よりがっしりしており、肌は白く紅毛碧眼であったと言われています。
ホモ・サピエンスはアフリカに残ったハイデルベルゲンシスの中から進化し、およそ20万年前には登場しました。
彼らも7万年前頃から数度にわたりアフリカを出ました。
そして、そのあちこちでネアンデルタール人と遭遇したはずです。
しかし、ネアンデルタール人は4万年前に絶滅してしまいます。
その理由は、ホモ・サピエンスと争ったためかと考えられましたが、そのような証拠は見られず、おりから悪化した気象条件で気温が低下し、食料を得ることが難しくなったと見られます。
さらに、狩りの時にホモ・サピエンスは飛び道具を使ったのですが、ネアンデルタール人は飛び道具を持たず接近戦で獲物を仕留めていたと考えられ、それで負傷をすることが多かったのではと言われています。
ただし、人類の遺伝子の解析が進み、現代人はネアンデルタール人およびデニソワ人の遺伝子を数%ながら持っていることが分かってきました。
ホモ・サピエンスの移動したいという本能は激しいもので、アフリカを出てもしばらくは中東にとどまっていたのですが、4万年ほど前に最終氷期になると海面が下がり世界各地に広がっていくようになります。
スンダランドを経てオーストラリアへ、そしてシベリアを通りアメリカ大陸へとまたたく間に世界中に広がってしまいました。
日本人がどこから来たかという問題も興味を引きますが、中東から拡散した4万年前の頃には日本列島にも到着しています。
その頃にはすでに何らかの舟を利用するようになっており、すでに陸続きではなかった日本へと渡ってきたものと考えられます。
その時期の差により、縄文人や弥生人と言われる違いが少しありますが、その後は緩やかに混血が進んできたようです。
このNHKスペシャルの放送は見ませんでしたが、今更ながら見ておけば良かったと思わせるものでした。
- 作者: NHKスペシャル「人類誕生」制作班,馬場悠男,海部陽介
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2018/05/26
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