国連での気候変動に関する討論が進み、例の北欧の少女も大演説を行ったようです。
少し前のマララ・ユスフザイさんと並べて論じる報道もありましたが、マララさんとは比べ物にならないでしょう。
彼女も言っていましたが、気候変動を止めるために一刻も早く二酸化炭素排出をゼロとしなければならないとしています。
ここで、いくつもの不確定要素を指摘しなければなりません。
1.本当に温暖化しているのか。
2.温暖化しているとしてそれが二酸化炭素の大気中濃度の増加によるものか。
3.温暖化が気候変動を引き起こしているのか。
4.二酸化炭素の放出を抑えれば大気中濃度の増加は抑えられるのか。
5.二酸化炭素濃度を抑えれば温暖化が止まるのか。
6.温暖化が止まれば気候変動は減少するのか。
これらの疑問のどれ一つとして、確証は得られていません。(そのように振る舞っている人も居ますが、間違いです)
科学的な仮説の常として、必ず反論があるのですが、ほとんどの人が納得すればほぼ定説とみなすことができます。
現状では上記の仮説に対し有力な反論が多数あるのが事実です。
しかし、彼らは「確証がなくてもすぐに取り掛からなければ間に合わない場合は取り掛かるべきである」(予防原則)という論法で対策を強要します。
その対策が副作用がなければそれでも良いのですが、そうではありません。
ヨーロッパなどでは2050年には二酸化炭素排出ゼロを成し遂げるとか。
そんなことできるのでしょうか。
風力発電や太陽光発電などのいわゆる「再生可能エネルギー」(ぜんぜん再生しませんが)に転換することでそうなると考えているのでしょう。
現在の風力発電、太陽光発電は何のエネルギーを使って装置を作っているのでしょうか。
まさか、すべてをそのような「再生可能エネルギー」で製造していると思っている人はいないでしょう。
少なくとも工業製品を形にするまでには、多くのエネルギーを使っています。
風力発電の風車の羽根は鋼材でしょうか、プラスチックでしょうか。
どちらにしてもその素材を作る工程、そこから成形する工程、いずれも多くのエネルギーを使っているはずですが、そのエネルギーをすべて風力発電で賄っているところはないでしょう。
現状では、火力や原子力発電の電力、石油などの内燃機関燃料を大量に使っているはずです。
これが本当に「再生可能」であるためには、「風力、太陽光発電など」で得られるエネルギーのみですべての施設・装置を作り出し、さらに余剰のエネルギーが得られなければ存在価値がありません。
想像してみてください。
絶海の孤島に1基の大型の風力発電装置があります。
とはいえ、そこで得られる電力は大したものではありません。
しかし、この島にはその風力発電装置しかエネルギー源はありません。
そこで生まれた電力を島中に送り、それで生活をしなければなりません。
それくらいなら可能かもしれないと感じるかもしれません。
しかし、この発電装置も寿命があります。
羽根や塔などせいぜい20年から30年といったところでしょうか。
そうなると、この装置自体を再び製造しなければなりません。
この乏しい製造電力で装置の再生産ができるでしょうか。
塔などはコンクリート製でしょうが、電力だけでは困難ですがここには電力しかありません。
ブルドーザーやコンクリートミキサーなどの建設機械を動かすのもこの電力を蓄電したエネルギーだけです。
砂利や鉄材を運ぶトラックも充電式電気トラックです。
発電装置が1基だけだから無理でも、何百基もあれば大丈夫でしょうか。
余剰電力があまりにも少なければいくら集めても不可能です。
太陽光発電も同様、いや昼間しか発電できないのでもっと難しいかもしれません。
蓄電装置があれば大丈夫と思っているかもしれませんが、蓄電装置を作るのもその装置から生まれた電力しか使えないということを考えれば、難しいことは分かるでしょう。
このように、風力や太陽光というエネルギーはあまりにも薄く存在しているのが宿命です。
たしかにそのエネルギーは太陽が送ってくれるエネルギーに由来し、太陽が存在する限りは無限のように流れてくるものです。
しかし、その存在密度が小さければそれを集めて使えるようにするには何らかの努力が必要になります。
「化石燃料エネルギー」も実はかつての太陽の恵みを集めたものです。
石油や天然ガスは単細胞微生物、石炭は植物が、その光合成で作り出したものが想像を絶するほどの長い時間(数千万年から数億年)をかけて溜め込まれたものです。
石油を燃やしてエネルギーを得るというのは、そのあっという間に何十万年分もの太陽エネルギーを使ってしまうということです。
それに匹敵するほどのエネルギー源など、上手く使えるわけがありません。
原子力はそれよりはるかに大きなエネルギー発生源ですが、これは逆に大きすぎて人間などのコントロールでは安全に使うことはできません。
結局は、化石燃料エネルギーを上手に使って、その間にエネルギー依存の文明をエネルギー非依存文明に転換していくしか人類が生き残る道はないのです。