皆様、参議院議員選挙の投票にはいらっしゃいましたでしょうか。
私はこの前一応参加するという意思表明をしましたので投票はしました。
しかし、その結果にはほとんど期待もできず興味も持てません。
なんで、「いだてん」を休みにしなければならないのか。
そのような参院議員選挙の日を迎え、本日の我が家に届けられた新聞(某地方紙、いわゆる「田舎新聞」)には、「安定か、変化か」とこれまで何度も使われて手垢で真っ黒になったような文句で始められていました。
与党が「安定」、野党が「変化」ということなのでしょうが、改憲改憲と騒ぎ続けている方がなぜ「安定」かという根本的な疑問を持つという冷静な思考能力はないようです。
アベノミクスとやらが決して「安定」をもたらすものではなく、何時崩れ去ってもおかしくないと言う認識は持てないようです。
私から見た処、「先はどうでも今だけ稼げれば良い」というのがその本質であり、とても「安定」などというものではないのですが。
さて、今回の選挙などはどうせなるようになるでしょうが、この参議院と言う制度自体の大きな問題点の方を強調しておきます。
現在の日本の国会制度は、衆議院と参議院の2院制、ただし、その意味も効果も何も考えられてはいないようです。
憲法には、第4章国会として、第41条から第64条までの条文が決められています。
そのうち、参議院に関する制度に関連するのは以下の条文です。
第四十一条【国会の地位、立法権】国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第四十二条【両院制】国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第四十三条【両議院の組織】1両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。2両議院の議員の定数は、法律(公職選挙法第四条)でこれを定める。
第四十五条【衆議院議員の任期】衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第四十六条【参議院議員の任期】参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに、議員の半数を改選する。第四十七条【選挙に関する事項の法定】選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律(公職選挙法)でこれを定める。
その他に、第54条に衆議院の解散と解散中の参議院招集、第59条に衆議院の優越について定められています。
このように、議院の性格は衆参で変えるということは考慮されていませんが、衆議院は任期4年で解散あり、参議院は任期6年で解散なし3年毎に半数改選とだけ定められており、その他の部分は公職選挙法で定めるとのみ示されています。
なお、以前の衆議院の中選挙区制に対する参議院の地方区・全国区制ということで、若干の差異が図られた時代もありましたが、衆議院が小選挙区比例代表制並立制(形だけ)にしたために、ほとんど衆参の差が感じられなくなりました。
これが原因の一つとなり、衆参の勢力が異なる「ねじれ国会」と言う事態が生じることとなりました。
記憶に残るところでは、2007年選挙で自民党惨敗、2010年選挙で民主党惨敗と、それぞれ与党側が参院で過半数を失い衆院とのねじれ状態で政治の停滞を招くということになりました。
ただし、ねじれ国会自体それほど悪いわけではなく、政権の暴走を防ぐ効果が強いとも言われています。
また、選挙制度についてでは、現在の参院選挙の制度は選挙区と比例区に別れており、選挙区は都道府県単位、ただし小選挙区ではなく定数は1から6までとなっています。
なお、島根・鳥取と徳島・高知は2県で1選挙区となりました。
比例区は全国1区で非拘束名簿方式で定数50を争いますが、今回から特定枠などという変な制度を割り込ませたため、一部で拘束名簿方式が混合した形になります。
選挙制度を見ても、これでどう議員を選んでいこうと言うのか、何の理念もありそうにありません。
ただ単に、相次ぐ議員定数訴訟への対応と、党利党略しか考えていない政党の都合でできてきたもののようです。
安倍政権は、口を開けば改憲、しかしその中味は自衛隊の明文化だけですが、この国会の選挙制度こそ憲法ではっきりと決めるようにすべきです。
そのための憲法改正ならば緊急に実施すべきものです。
現行の制度の疑問点はいくつでも挙げられます。
参議院の性格はなんなのか。
衆議院との違いは解散があるかないかに限定されるようです。
ならば、安定して任期を全うできる参議院の方が優越しても悪くはないのでは。
世界各国で、二院制(両院制)が採用されていますが、そこではかなりの国で性格の差が作られており、アメリカやドイツなどの連邦代表型、イギリスや旧日本帝国の貴族院型(特権階級代表型)、日本やイタリアのように民選型(民主的2次院型)といったものがあります。
ただし、どうも似たような性格の2院が並立という日本のようなタイプは少ないようです。
島根鳥取、高知徳島の合区が気に入らないとして、自民党の地方議員などでは制度改定(とても「改正」などとは言えません)の希望が噴出しているようです。
しかし、そのような「議員なりたい病」の連中の言い分など聞いていても仕方ありません。
そもそも、「各都道府県単位」というのが何なのか。
明治初年に廃藩置県でできてから、150年あまりが経過しそれなりに地域単位として機能が定着していると言えるのかもしれませんが、それも地方によって大きな差があり、九州・四国・東北などのように比較的県単位のまとまりが良さそうなところもありますが、関東や近畿など都道府県単位での意識がさほど強くないところもあります。
その中で、「都道府県の代表として参議院議員を選出する」ということに何の意味があるのか、大してありそうもありません。
これが結局地方の候補者(特に与党側)が「中央とのパイプ役」だけを強調する理由にもなっています。
このような問題点というものは、とても「公職選挙法でこれを定める」といった憲法の記述で済ませられる話ではありません。
「憲法でしっかりと規定する」べき問題だと思います。
そのための改憲検討は十分にすべきと考えます。