栄養疫学研究の児林聡美さんが書かれている文です。
栄養疫学とは、食事の量や質、内容について多くの人の現状を調査し分析してその中に含まれる傾向を探るという学問分野で、慎重な調査企画と手法を守り解析をすれば大きな成果も期待できるというものです。
今回の話題は、その調査手法の中でも、食事量の自主申告はあてにならないというもの。
栄養疫学の調査では、食事量を調べる方法はいくつもあります。
実際に食べる食事をすべて秤ではかるといった方法もありますし、調査票という用紙に本人に書いてもらうという方法もあります。
秤で測るのが正確でしょうが、すべてをそれで行うというのは手間と時間がかかります。
そんなわけで、簡単に多くの人の食事摂取量を調べようとするなら、本人に思い出して書いてもらうのが良いように思えます。
しかし、一番の問題点は、「正確ではない」ということです。
しかも、「必ず、摂取量は実際の量より少なく申告される」という特徴があります。
さらに、「太っている人ほど、実際の摂取量より申告量が少ない」というのです。
記事中にあるグラフによれば、BMI20程度の痩せた人では、申告摂取量÷実際摂取量(正確率とでも言いましょうか)が90%程度にとどまるものが、BMI36のかなり太った人ではそれが60%まで低下するそうです。
どうやら、太った人ほど食べたことを忘れてしまったり、少なく食べたと思い込むような心理的作用が働くようです。
こういった「申告誤差」というものは、この分野の研究では大きな問題となるそうです。
私も今でも少し太め。一時はかなり太っていましたので、その心理がよく分かります。
なお、上記の申告正確度の調査で、正確率がほぼ100%だった調査方法は、「他人が見て記録する」だったそうです。
なるほど。