岩波新書でシリーズ化されている、「各国史10講」というものでは、以前に「イギリス史10講」という本を読みました。
新書版で各国の古代から現代までの歴史をまとめてしまうというもので、詳しいところまでは触れることはできないでしょうが、なんとなくその国の歴史の概要を知ったつもりになるという目的のためには手軽で安価な方法です。(しかも、私はそれを図書館で借りて済ましていますので、より安価、というかタダですが)
今回は、そのシリーズの中からフランスを選んで読んでみました。
著者の柴田さんは、フランス近代史が専門の歴史学者ということですので、近代現代の文章に比べて古代の文は少しそっけないように感じますが、どうでしょう。
フランスもそうですが、ヨーロッパの多くの国では、古代から現代までの通史をたどっても、その初めのところと現代では住んでいる人の連続性もないことが多いようです。
フランスには古代はケルト人が住んでいたようです。
彼らのことをローマ人は「ガリア」と呼びました。
さらに、南側の沿岸部にはギリシア人が到来し植民都市のマッサリア(マルセイユ)を建設しています。
その後、ローマのカエサル(シーザー)がガリアに赴任し、この地域を武力制圧します。
そして、ガリア人もローマの支配に属するとローマ化が進みます。
その後、さらに北方からゲルマン人がフランスの地に侵入してくるようになり、それも契機として西ローマ帝国は滅亡、ゲルマン人の王国としてフランク王国、ブルグンド王国などが現フランスの地に起こります。
その後は、高校の世界史の時間にも習ったような流れが続きます。
しかし、高校時代の授業では、フランス革命、そしてナポレオンの帝国樹立とその没落までは扱いが大きかったものの、その後はほとんど触れられることがなかったと思います。
この本を見るとその理由もよく分かります。
王政復古、ナポレオン3世の再帝政、等々、もうグチャグチャと言うような混乱が相次ぎますので、こんなことを教えたら大抵の高校生は頭が混乱して歴史自体に拒絶反応を示すでしょう。
それでも、私自身は歴史好きでいろいろな本も読んできましたので、「ベルエポック」とか「パリ・コミューン」とか、名前だけは知っていることもあります。
しかし、その実態も理解が難しいものです。
19世紀後半の政争の中で、「オポルテユニスト」なんていう言葉は知りませんでした。
クレマンソーらの少数急進派(ラディコ)に対する多数派で、「ご都合主義者」という意味だそうです。
今後、使ってみよう。
このように、歴史上多くの時代が混乱であり、多くの血が流されたにもかかわらず、ヨーロッパの中での存在感の大きさというものがあるということは、フランスがそれだけ大国であるということなのでしょう。