ツイッターで勝川俊雄さんが紹介されていたので、原文を見に行ってみました。
www.u-tokyo.ac.jp東京大学の高野陽太郎教授が調査検討した結果ということです。
「日本人は集団主義」ということが、「欧米人は個人主義」と対比するような形で言われることが多いのですが、それを実証する調査研究等はほとんど行われておらず、「ルース・ベネディクトの”菊と刀”から広まった」ということが言われています。
しかし、これも正確な事実ではないようです。
ベネディクトが指摘する以前に、実際に「集団主義」とみなすべき状況があったのですが、それは第二次世界大戦という国をあげての戦争に対処するための行動であり、アメリカですら同様の心理状態に向かっていったのであり、「日本人が集団主義」というような決めつけはできないものでしょう。
そこで、高野教授はこの事象を研究した多くの研究例の中から、実証的であると考えられるものを選び検討しました。
心理学、言語学、教育学、経済学等の分野で研究されていますが、どこの分野でも「日本人が特に集団主義的」であることは示されず、逆にアメリカなどの欧米諸国の方が集団主義的とみなせる例も多く存在しているようです。
このような通説ができあがった要因についても考察されています。
「菊と刀」というような著作で日本に触れた欧米人は、直前の戦争時に日本人が集団主義に固まったことを見て、それが事実だと信じたようです。
しかも、アメリカ人は「個人主義」にこだわりを持ち、自らがそれであると信じる傾向があり、それと異なる異文化として日本人を類型化して理解するという傾向があったようです。
それを見た日本人の方でも否定することもなく受け入れてしまったのでしょうか。
まあ、周りを見回してみれば、日本人が集団のために何かするなどということはないということが、すぐ分かりますが。