日本は火山活動や造山運動が活発なためでしょうか、いたる所に興味深い地形があるようです。
実際にそこへ行ってみて、自分の目で観察してみたいという、「地形ファン」も多いのでしょう。
この本はそういったファン向けに、観察のガイドとして書かれたもので、見ることのできる地形とコースマップで実用向けにできています。
少し前に、火山の観察ガイドの本を読みましたが、それとほぼ同様の作りになっています。
sohujojo.hatenablog.comただし、今回の本では様々な地形について扱われていますので、より幅広いものです。
しかし、ちょっと幅広すぎたでしょうか。全国で26箇所しか紹介できず、九州を見ても3箇所だけと少し淋しいものでした。
できれば地域別に各地方でもっと細かいものまで取り上げていただければ、より参考にしやすいのでしょうが、やはりそれでは本が売れないか。
紹介されている場所のうち、私が実際に行ったことがあるのは6箇所、行ったことはないものの非常に親近感を覚えるところが1箇所ありました。
箱根には何度も行ったことがありますが、ここは芦ノ湖がカルデラ湖で巨大なカルデラ噴火の跡だと思っていました。
しかし、本書によればそのようなカルデラ噴火は無かったということで、複数の小火山が噴火を繰り返しその後侵食されて今のような地形になったということが分かったそうです。
火山の中心部で陥没性の地形の証拠が見つからないことで推定されたとか。
長野県下伊那郡大鹿村の、大西山と言うところが取り上げられています。
これは、それほど知られているとは思いませんが、私にとっては非常に思い入れのあるところです。
父の出身地から川沿いに登ったところで、家伝には祖先がその付近に暮らしていたと言われています。
それが、昭和36年に伊那地方を襲った大水害の際に、大規模な山崩れが起き多数の死傷者を出しました。
赤石山脈の山裾にあたるこの地域の地質は、非常に崩壊しやすいものでこれまでにも多数の山崩れを起こしていたのですが、これは中央構造線周辺の断層地帯にはよくあることのようです。
岐阜県には知られている限りで最大の内陸地震、1891年の濃尾地震の際に動いた根尾谷断層が見られるところがあるそうです。
最大で9mもの横ずれが起きました。
今後もまたどこかでこのような地震が起きるかもしれません。
近くであれば見に行きたいところが多数ありました。