爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

漢字の意味に「意図」できるのか

元号「令和」を英語圏のメディアが翻訳し報道するのに、「order & peace」(命令と平和」と訳したことに日本政府が抗議をし、そのような意図ではなく「美しい平和」だと言っているそうです。

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これは仕方のないことで、政府が新元号を発表した際には海外向けにどういう漢字かということは説明したそうですが、その意味や含意などは述べなかったとか。

 

海外メディアは当然ながら日本語のできる社員にそれを調べさせたでしょうから、辞書に載っている意味をそのまま書いたのでしょう。

「令」の字の意味として最初に書いてあるのは「命令」、そこからかなり遅れて「美しい」と出てきますので、普通に訳せば命令が先に来ます。

 

英語でも同じ言葉でも昔と今とでは意味が違うという言葉がいくらでもあるはずです。

言葉は世に連れ、変わっていくのは当然であり、これは漢字についても同様でしょう。

 

今回の新元号の令和についても、出典の万葉集(その元ネタの張衡の漢詩も一緒)で令月と風和とあることから、そこでは確かに「美しい」という意味でしょう。

 

ただし、漢字については現代英語や日本語の言葉がかつては別の意味に使われていたということとは違う事情があり、それは「様々な意味が今でも並列して使われている」ということです。

 

「令」という文字を現在では「美しい」という意味で使っており、昔は「命令」という意味で使っていたが今はそうは使わない、ということではありません。

 

逆に、そのような多くの意味を持つ漢字の特性を、うまく利用して複数の含意を持たせるということも可能であり、当然ながらある程度以上の教養を持つ人間はそれを「意図して」使っているということが言えます。

 

つまり、この元号を考え出した知恵者は、令という字に当然ながら「上の命令一下」という意味を含ませ、上辺だけは「美しいという意味だ」と言い張り、それ以外の意味を考えるのは下衆の勘繰りだと強弁しようということです。

それが「意図」でしょう。

 

安倍総理がそこまで認識してこれに決めたのか。

まあ、浅薄な彼のことですから、気づいていなかったのかも。