「花粉を水に変える」という謳い文句のマスクというのは印象的だったので覚えていました。
最近は聞かないようですが、どうなっているのでしょうか。
それについて、ニセ医学と闘う内科医NATROMさん(名取宏さん)が書かれています。
どうやら、昨年春頃にはその科学的妥当性についての議論が盛んに行なわれ、山形大学の天羽さんや左巻健男さんなどが発言されていたようです。
メーカー側の姿勢も強いようで、かなり自信を持っているようです。
特許も取り、論文も書かれているということなのですが、その論文がなかなか公表されないようです。
この中心部分はハイドロ銀チタンという物質で、これが触媒作用をして花粉を分解するということなのですが、確かにそういった作用をする可能性はあるかもしれません。
しかし、NATROMさんが反応しているのは、このマスクを着用することで花粉症患者の症状が有意に緩和されたという点です。
科学的にこの主張が認められるためには、ダブルブラインドの試験設計が行なわれ、きちんと管理された臨床試験が実施されなければなりません。
NATROMさんはその詳細が知りたいので論文を早く見たいというのですが、会社側はなかなか公表してくれないのだとか。
どうも、かなり怪しいもののようです。
触媒作用で花粉が分解するかどうかということを証明しても、それが花粉症の緩和につながるとは限りません。
多くの医薬品候補がその壁を破ることができずに開発途上で消えていっているわけです。
やはり、天羽さんや左巻さんの言うことの方が正しいか。