爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

”賀茂川耕助のブログ”を読んで No.1247 人類存続へ有機栽培転換を

今回の賀茂川さんブログは「有機栽培」への転換が人類の存続にも関わるという主張です。

kamogawakosuke.info現在の地球では多くの生物が次々と絶滅しており、賀茂川さんはそれに農薬などが関わっているため、有機栽培への転換が必要だと言うことです。

 

これには多くの自然の真実とそれを歪めた人類の行動があり、実現は難しいのかもしれません。

 

まず、「有機栽培」と言う用語ですが、これは英語でも「organic agriculture」ですのでこれを「有機」と訳すのは仕方がないのですが、ならば「無機農業」とは何かというと少し困ります。

無機化学肥料や無機農薬を使うから「無機農業」と言えるかということですが、あまりそういった使い方はしません。

 

ただし、世界的にも「有機農業」というものはほぼ定義が決まっており、化学肥料や農薬を使わない(一部のものは使用可能)ものを指します。

 

こういった有機農業は、確かに微生物や昆虫などを含む環境をなるべく撹乱しないという意味で推進されていますが、ヨーロッパでもまだそれほど多く実施されているわけではなく、日本ではまだ非常に少ない比率の実施のみです。

(宣伝されているものは非常に多いのですが、実際に有機農業として認定されているものは少数です)

 

有機農業の問題は、コストが高くなることと収量が減少することです。

現代の70億人に達しようとする世界の人口を支えるためには、有機農業の生産力では不足します。

まず、多くの病虫害により農産物の減収が避けられず、さらに化学肥料の不使用も生産量減少に直結します。

 

化学肥料の代わりに有機肥料を使うということになりますが、植物の栄養分を地中から取り去り、それを別の場所に農産物として移出したら、代わりに何らかの方法で戻さなければなりません。

実は、それはかつて日本などで行なわれていた「人糞堆肥の投入」なのです。

この代わりに畜産動物の糞尿などと言っても絶対量が足りません。

出したものはそのまま帰すということが守られなければ栄養分の循環もありません。

 

賀茂川さんは実際に自分でも農作業を行っているということですが、大きな栄養分の循環ということまで考えておられるのでしょうか。

 

完全な栄養分循環農業を可能とするためには、今のようなすべてが東京一極集中という社会では不可能です。

せめて数十万人程度の地方都市に別れ、堆肥も地域で循環させるような社会の実現が不可避でしょう。