若い頃からいろいろな楽器に手を出し、下手の横好きでちょっとだけ音を出してみるということをやっていましたので、このような楽器に関する本というのは、非常に興味深く読むことができます。
しかし、そんな私にとっても知らないことが満載の本でした。
管楽器というものは、その構造や音の出し方なども様々であり、その点についても面白いことが数々あります。
管楽器の魅力というものが巻頭に書いてありますが、まあ多少は身びいきのような点もあるとは思います。
しかし、確かにかじっただけだった私から見ても、魅力は理解できます。
これでもう少し上達していればもっと楽しかったかもしれません。
管楽器と言っても大きく分けて木管楽器と金管楽器とに分けられます。
特に、木管楽器では構造もまったく異なるものがあります。
例えば、フルートは吹口に唇を当てて息を吹きかけることで発音します。
また、クラリネットなどのシングルリードの楽器は、葦の茎から作られるリードと呼ばれる薄い板を一枚、マウスピースと呼ばれる部分に取り付け、息を吹き込んで振動させます。
オーボエのようなダブルリードの楽器は、リードを2枚重ねて取り付け、両方を一度にくわえて息を吹き込みます。
金管楽器は、振動させるのは自分の唇です。
マウスピースでそれを拾い、楽器全体に音を伝えて振動を拡大して大きくします。
このような構造の差と、発音の原理の差が、音色に現れて魅力ある音を出していきます。
金管楽器で顕著な特徴ですが、息の強さを調節して倍音を変えるということができます。
トランペットなどで、バルブを触らなくても「ドミソドミ」と吹けるというのがその表れです。
しかし、管楽器の中でもクラリネットだけは他の楽器と違う倍音が出ます。
他の木管楽器では、強く吹くと1オクターブ上の音が出るのですが、クラリネットは1オクターブ半上の第3倍音が出るのだそうです。
古くはルネサンス期やバロック期から発展を続け、もはや一定のものに進化したような管楽器ですが、今でもかなり異なる構造のものが使われているようです。
オーボエでは、多くの楽器が「コンセルヴァトワールシステム」と呼ばれる構造になっています。
コンセルヴァトワールとは、フランスのパリ高等音楽院のことで、そこで使われた楽器の構造が広く使われるようになっています。
しかし、ウィーンのオーボエ奏者たちはそのシステムに合わせようとはしませんでした。
彼らは旧式と見られたドイツオーボエを改良し、ウィンナオーボエと呼ばれる楽器にこだわっているそうです。
本書の最後には、これから管楽器を練習したいという人たちに向けた、練習方法の記述もあります。
まず最初が「練習場所を確保しよう」です。
これには、自分の体験も思い出され、苦笑しました。
金管楽器など、大きな音が出ますので家ではなかなかやりにくいものでした。
私が、下手ながらも家での練習をほそぼそと続けていたのを諦めたのも、子供が生まれて大きな音で楽器を吹くと泣くようになったためでした。
本書で推奨されている練習場所の確保法は、「近所の練習室を借りる」「近所の楽団に入団する」「自宅を改築して練習室を作る」でした。
どれも、簡単にはできないようです。