久しぶりにFOOCOM.NET専門家コラムから、消費生活アドバイザーの瀬古博子さんが書かれている「カラメル色素、健康影響は?」という記事を紹介します。
「カラメル」とは普通に料理でも作ることがある、カラメルソースのことかと思っていましたが、添加物としては「カラメル色素」として扱われているものだそうです。
そして、工業的には4つの製法があるとか。
カラメル色素は、製造法によって4つの種類があります。
・カラメルⅠ 糖類を加熱
・カラメルⅡ 糖類に亜硫酸を加えて加熱
・カラメルⅢ 糖類にアンモニウム化合物を加えて加熱
・カラメルⅣ 糖類に亜硫酸とアンモニウム化合物を加えて加熱
このうち、問題だといわれるのは、カラメルⅢとカラメルⅣ。つまりアンモニウム化合物を加える製造法のものです。
これは詳しくは知りませんでした。
「カラメルⅠ」だけだと思っていたらそうではないようです。
特に問題と見られるのは、Ⅲ、Ⅳのアンモニウム化合物を使う製法で、4-MEI(4-メチルイミダゾール)を副産物として生成する可能性があるそうです。
この4-MEIが、マウスで発がん性を示したという実験例があるために、危険視する人々がいるようです。
ただし、この実験例は2007年にアメリカの国家毒性プログラム(NTP)によって報告されたもので、非常に高い濃度での実験であるそうです。
そして、問題なのはこの4-MEIは通常の調理過程でも生成されることがあり、コーヒーの焙煎や肉の加熱で発生していることがあるということで、微量の混在をことさら危険視するのは他とのバランスを失する可能性がありそうです。
EFSA(欧州食品安全機関)ではこれらを踏まえ、カラメル色素のADI(一日摂取許容量)、4-MEIについてNOAEL(無毒性量)を設定しています。
発がん性が疑われる物質であっても、このように摂取許容を認めるというのは現実的な対応でしょう。
日本の食品添加物公定書でも摂取量が規定されていますので、この量は守られなければなりません。
コーラ飲料にこれらの色素が使われていますが、その使用量は規制値と比べてもはるかに低い値であり、規制値を超えるためには、コーラを毎日237リットル飲まなければ到達しないそうです。
安全摂取量の設定というものは、科学的に見て非常に高い安全係数を確保しており、この色素に関しては危険はないと言えるでしょう。