ビジネスにおいて電子メールの存在は大きな変革でした。
現在では多い人では一日に数百通のメールを送受信しています。
その対処だけで数十分から数時間もかかるということになっています。
それほど身近になったメールですが、それによるトラブルも頻繁に起きています。
以前は慣れない中高年が失敗することが多かったのかもしれませんが、近頃では私用のメールに慣れすぎている若年層がビジネスであることを忘れて痛い目にあうということも多いようです。
著者の平野さんは、ビジネスメールのマナーについては著作も何冊か書き、講演も数多くこなすという、ビジネスメール教育のベテランです。
どのようなところにトラブルの種があるかも熟知していますので、そこに注意してメールを有効に使ってほしいということです。
メールでのミスは指摘されにくいというのが特徴です。
書いた人の眼の前で読まれるわけではないので、相手の反応も分かりません。
不愉快に感じたとしてもよほどでなければ注意もしません。
そのため、不快なメールを書いて送ったとしても当人は知らないままということがほとんどで、取り返しのつかない状況になって初めて分かるということもあります。
メールにはメリットとデメリットがあります。
メリットは①コストがゼロ、②時間が拘束されないということ。
デメリットは①読まれているかどうかわからない、②反応がわからない、③同じ時間を共有できない。
このメリットとデメリットは同じ現象の裏表のようです。
若年層の携帯世代の、ビジネスメールでの失敗というのは、「仕事モード」への切り替えができないことによります。
メールに慣れ親しんでいるとはいえ、それまでは友人たちとの私用メールだけでしたので、仕事モードでどのように使うかということはしっかりと覚えておかなければいけません。
プライベートメールは体裁がルール無視、個性いっぱいで自分らしさを出す方が良いという価値観ですが、仕事モードのメールでは最低限のルールを守る必要があります。
携帯メールの特徴と言える「改行を入れない」「絵文字や顔文字を使う」「名乗らない」といったものは不適切となります。
仕事メールでありがちなのが、CC、BCCの使い方、転送のやり方といったところです。
BCCでするべきところをCCに入れてしまい取引先にバレたり、勝手に転送してしまって相手を怒らせたりといったことが頻発します。
転送の場合も相手の許可を取り、転送の理由もちゃんと説明すると言った手続きが必要になります。
一番トラブルを大きくしてしまうのが、「謝罪をメールだけでしてしまい、問題を大きくしてしまう」ことです。
ミスの程度にもよりますが、大きなものなら出向いて対面で謝罪、そこまででなくても電話でフォローと言うのが必要な場合が多いので、メールだけというのは相手の心象を害することが多いようです。
ただし、電話をしてもつかまらずに仕方なくメールと言う事態もよくあることですが、その場合もメールにはっきりと「電話を差し上げましたがいらっしゃらなかったのでメールで」と断る必要があります。
ありがちな例として、メールソフトの「開封確認機能」と「重要度設定機能」というものを外部の人(特に得意先)向けにも使ってしまうということがあります。
開封確認機能とは、メールを受信する際に「開封確認を要請しています」といったメッセージが表れ、「はい(Y)」を押さないと開かないと言うもので、不快に感じる受信者も多いそうです。
私も会社勤めをしている頃には毎朝仕事の最初には受信メールの確認と言うのが日課でした。
退職してからは、仕事メールは来なくなったものの、迷惑メールがどっさりと来ますので、以前と変わりないようですが、まとめてポイができるので前よりは楽になりました。
当時もメールトラブルというのが時々起きていたようです。
怖いような記憶があります。