最近、「糖質オフ」を謳い文句にしたお酒、特にビール類の発泡酒やリキュール、チューハイなどで目に付きます。
糖尿病やその予備軍の人々、ダイエットに夢中(目を覚まさずに考えていないという意味で)の人たちに人気なようですが、「データ栄養学のすすめ」という本でかなり話題を呼んでいる、東京大学の栄養学の教授の佐々木敏さんが解説をしています。
まず、お酒に糖質とはどれくらい含まれているものかを説明していますが、「糖質」という場合にはアルコールは含まず、炭水化物の中でも難消化性の繊維質を除いたものということです。
したがって、醸造酒であるビールや日本酒には多く含まれていますが、蒸留酒の焼酎やウイスキーには含まれていません。
ここからは佐々木先生の専門である疫学的データ解析の出番ですが、お酒の嗜好による糖尿病発症の危険性を見ると蒸留酒を多く飲む人のほうがワインを飲む人より糖尿病になりやすいことが示されています。
これを「ワインには糖尿病になるのを防ぐ成分が含まれている」と考えてしまうと、ワインをたくさん飲んだほうが良いという間違った結論に向かいますが、当然ながらそうではなく、別の要因を考えるべきでしょう。
しかし、少なくとも「糖質オフ」のお酒を飲んでいれば大丈夫といったことにはなりそうもありません。
この記事にははっきりとは書かれていませんが、「糖質オフ」の製品を大量に発売しているのは、いずれも大手メーカーであるために、正面から批判する記事を載せることは広告主のためにならないということで、メディアは積極的ではありません。
このような製品を飲んでも効果は小さいということは、あまり記事にはならず、大声のCMばかりが流れる状況では、まともな判断ができなくなっているのかもしれません。