爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

権力分立と外交との関係はどうあるべきか 

徴用工判決の問題で、韓国の文在寅大統領が「三権分立なので司法の判断に従う」と発言したことに対し、日本では専門家から素人まで多くの意見が飛び交っています。

https://japanese.joins.com/article/993/248993.html

多くの意見では、外交は内政の三権分立より優先すべきであり、それを口実の韓国政府の行動を批判するというものです。

 

私も、素人ながら泥縄で少し勉強してみました。

なお、普通は「立法・行政・司法」の三権が独立するということから、「三権分立」と言いますが、その他に公務員人事と監察権を独立させた台湾(中華民国)の例もあることから、数を指定せずに「権力分立」と呼ぶことにします。

 

(なお、この台湾の五権分立は卓見かと思います。私も繰り返し述べているように「国会議員に選挙制度を決めさせるな」というのが考える必要のある問題です)

ja.wikipedia.org

さて、それでは韓国はどうするべきでしょうか。

大統領は行政の責任者であり、議会や司法は直接の支配下にはないようです。

外交は行政担当者の実施行為ですので、大統領がそれにあたりますが、もしも司法判断が外交方針と異なる場合は司法を説得する必要があり、もしも反対する場合は強権発動となるでしょう。

そうなれば、権力分立とはなりません。

 

どうやら絶対的に正しいと言える対応法はないようです。

 

 

司法と行政の軋轢というものは起こりがちだと思いますが、司法のトップ、日本では最高裁判事アメリカでは連邦裁判所判事でしょうが、それが独立できるかどうかは問題となります。

 

日本のような議院内閣制ではアメリカなどの大統領制度と異なり、行政と立法はほとんど一体となりがちであり、現に日本の現状はほぼ政権の言うがままでしょう。

最高裁判事も日本では内閣の任命によるため、司法独立性も危ういものです。

一応、最高裁判事の国民審査というものはありますが、形だけです。

ちなみに、私はいつも判例を元にバツをつけることとしていますが、このようなことをするという人はほとんど居ないでしょう。

 

アメリカの連邦最高裁判事の指名はよくニュースになりますが、保守派とリベラル派とがはっきりと分かれるというのは興味深いことです。

日本など、裁判官によっての差は極めて小さいでしょう。誰がなっても同じ。

アメリカの最高裁判事というのは、任期が決められておらず終身ということです。

これも、影響力の保持には大事なことでしょう。

日本の最高裁判事の在任期間はどの程度なのでしょうか。もう定年直前でしょうから短いということでしょうか。

 

なお、司法の問題とは離れますが、行政の最高権力者である首相による議院解散の問題も大きいものです。

安倍政権になって特に目立ちますが、それ以前にも見られたように首相のやりたい放題解散というものは問題でしょう。

よく地方自治体などに見られるように、市長の辞職決議を議会がしたら市長が議会を解散するというのはまだ分かりますが、それもないのに政府の都合と思惑で衆議院解散というのはどう見てもおかしい。

 

こういったところを再考するような憲法改革であれば十分に議論の価値はあると思うのですが。

 

どうやら「権力分立」構造というのは、かなり奥深いもののようです。

これを機会にもう少し勉強してみましょうか。