爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「暴走する文明」ロナルド・ライト著

人類が農業を始めて以来、多くの文明を作ってきましたが、どれも永続することはなく消え去っていきました。

その場に人の姿も無くなるほどきれいに消え去ったものもありますし、人は住んではいてもかつての文明の後継者とも言えない場合もあります。

文明が消え去る理由というものを考えていくと、その文明のよって立つ原動力であったものがそのまま消える要因になっている場合もあります。

それこそ、「文明の暴走」と言えるものかもしれません。

 

イースター島は、ごく狭い島の中で繁栄したミニ文明とでも言うべきものですが、その最盛期には今に残る巨石の像をいくつも作るほどに栄えました。

しかし、それは巨木などの資源を使い果たす文明であったために、それが無くなった時に崩壊しました。

 

人類最古の文明と考えられる、メソポタミアではおそらく最初の大規模農業が営まれ、それを基にした文明が花開きました。

農業生産が基盤であったものの、灌漑に伴う土壌中への塩類の堆積ということが農業の継続を不可能とし、同時に文明も崩壊しました。

 

我々は、現代文明は特別であると見なしています。

これまでの、興隆しては衰退していった多くの文明とは異なり、いつまでも続くように考えています。

しかし、多くの面で幸運が重なり世界全体を巻き込む文明となった今、どこかで暴走するとこれまでとは比べ物にならないほど悲惨な状況になるかもしれません。

 

核戦争や気候異変、廃棄物、病原体、新技術の暴走など、生命圏を脅かす怖れのあるものはいくつもあります。

文明の没落はいつも突然やってくるように見えるようです。

それが何時であるかということが問題なのかもしれません。

 

暴走する文明―「進歩の罠」に落ちた人類のゆくえ

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