爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「3D地形図で歩く日本の活断層」柴山元彦著

内陸型の地震の多くは活断層付近で起きるということは知られてきましたが、そんな活断層というものが実際にどこにあって、どのようなものかということはまだそれほど一般に知られているものではないかもしれません。

 

活断層の分布というものを見れば、日本中にあるということが分かります。

本書はその中でも有名な断層を、国土地理院の地形データなどと基に著者が3D化した図や、実際に訪れて撮影した写真で示したものです。

 

 「活断層」とは、260万年前以降の第四紀に活動した(つまりズレて地震を起こした)ことがあるものを言い、それ以上前のものは単に断層というそうです。

 

掲載されているのは北海道から九州まで34の活断層です。

行って見たことのあるところも含まれています。

 

日本を縦断する大断層の「糸魚川ー静岡断層」は延長300km,またそこから直角に伸びる中央構造線の先端部の赤石断層など、私の父母の出身地である長野県の伊那盆地のすぐそばであり、昔から見てきた風景が断層形成によって作られた景観であったことが分かります。

 

岐阜県の根尾断層は最も激しかった内陸地震と言われる濃尾地震震源地ですし、兵庫県の諏訪山断層、野島断層は阪神淡路大震災震源地です。

また、新幹線の新神戸駅は諏訪山断層の真上にあるとか。

そのために断層が活動しても破壊されないように特別な構造で作られているそうです。

 

各地の断層はちょうどその地が谷や川の流域となっているために、交通の適地でもあり、鉄道や道路がそれに沿って作られているところが多いようです。

その構造を強固にするということも、宿命のようなものなのでしょう。

 

また、掲載されている写真を見ても、平地から切り立って屏風のように見える山地の地形というものは断層によって作られたということがよく分かります。

結局、日本の山地の景観というものはこういった断層によってよりダイナミックに見えるようになったということなのでしょう。

 

なお、2016年の熊本地震震源ともなった、日奈久断層も掲載されており、その代表的な地形としては新八代駅から北方へ伸びる山地が載せられています。

この一帯は我が家からもよく見えるところで、八代平野を囲む屏風のような姿を見せています。

地震の巣であることは間違いないのでしょうが、恐ろしさの中に美しさがあります。

 

なお、この部分で「八代」と書くべきところが「八千代」と書かれているのはどうしたことでしょうか。

引用された地図にも「八代」と表記があるにも関わらず、本文中にはすべて「八千代」と書かれています。

ちょっとチェックが甘かったようです。

 

3D地形図で歩く日本の活断層

3D地形図で歩く日本の活断層