著者の赤石さんは、ご自身もシングルマザーとして生活しながら、苦しい人々の支援活動を続けられ、現在はしんぐるまざーず・ふぉーらむ理事長をされています。
2011年の推計で、母子家庭は124万世帯、父子家庭が22万世帯、推計値で40年で2倍になっているそうです。
その世帯収入は低く、年収100万から200万というところがほとんどのようで、ギリギリの生活をしています。
シングルマザーは働いていないから収入が少ないのではと言われるのですが、実際は就労率は非常に高く、2011年の調査で80%以上の人が職についています。
これは欧米各国と比べても高いのですが、その割に収入が低いのが実情です。
それだけ、低収入の職業にしか就けないという現状があります。
また、シングルファザーの収入は若干高いのですが、それでも下がり続けています。
これは、離婚または死別した時にはある程度高い収入の職業についていたとしても、子供の養育を理由に仕事に専念できずに、高収入の職場から退職を余儀なくされたりする場合が多いためと考えられます。
シングルマザーの貧困を問題とすると、離婚の際の取り決めが悪く養育費を取らないからだと言われますが、養育費を貰っている人がわずか20%弱、その金額も平均4万円あまりに過ぎません。
かつての制度では、「死別」「離別」「未婚」と厳然と分けられその間には格差を設けられていました。
死別した母子家庭は可愛そうだが、離婚などは我慢が足りない、未婚などは不道徳という価値観がそのまま出たものでした。
これを徐々に改正させていったのですが、まだその感覚が残っているようです。
ひとり親家庭の子供達はそのスタート時から大変なハンデを負わされていると言えるでしょう。
教育関連費用すら払うことが難しい場合も多く、塾などには行けません。
成績も低く、進学も難しいということになります。
ひとり親であっても、実家の支援や親族の助けがある人が居るということがよく言われますが、実際はそういった境遇の人は極めて少数であることが分かります。
確かに、そのような家庭では経済的な困難は少ないのですが、とてもそういった事例を一般的とみなす事はできません。
ほとんどの世帯ではそれは全く無いと考えなければいけないようです。
こういった家庭に対する支援は、児童扶養手当というものがあったのですが、その受給者が増えることで予算への影響が言われ、徐々にその額を減額するといったことになっていきます。
2008年には、児童扶養手当を減額する代わりに「ひとり親」の就労支援を拡充するという手法で財源をへらすという手に出てきました。
今でも目一杯働かなければいけないひとり親が、多少の技能訓練をしたところで収入アップなどできるはずもありません。
制度改悪と言わざるを得ないでしょう。
東日本大震災をはじめとする数々の災害も、ひとり親世帯に大きな悪影響を及ぼしています。
きちんとした制度改革が必要なのでしょう。