「フェアトレード」とは、これまでの通常の商取引で農産物などの途上国の生産物を安く買い叩くことで、生産者が窮乏の度合いを強めていったことに歯止めを掛けるために、フェアな条件での取引をすることを意味します。
ネオリベラリズムの主張する市場原理主義は、ともすれば「市場の暴力」となり、途上国ばかりでなく世界中で生産者が脅かされる事態となっていますが、この中でもフェアトレードを確立し守っていくことが必要とされています。
フェアトレードといっても様々な経緯があり種々の定義もあったのですが、共通定義としては次のようなものが挙げられます。
より公正な国際貿易の実現を目指す、対話・透明性・敬意の精神に根ざした貿易パートナーシップのことを言う。
フェアトレードは、とりわけ南の疎外された生産者や労働者の権利を保障し、彼らにより良い交易条件を提供することで、持続的な発展に寄与するものである。
フェアトレードが必要な理由には、これまでの状況を知る必要があります。
大きな理由の一つに「仲買人による買いたたき」があります。
豊かな生産者であれば出荷手段も選べますが、貧しい生産者はその手段もなく、買いに来た仲買人の言うままに売るしかありません。
また、バナナや紅茶などを生産する大農場(プランテーション)では労働を提供するだけの労働者も多数居ます。その中には子供も含まれます。
債務でしばられて奴隷同然の境遇になっている場合も多くあります。
このような状況を取り締まるべき政府も、多くは腐敗し賄賂次第で動くような状態です。
こういった事態に対処するとしても、フェアトレードと称するだけでは信頼性がありません。
そこで、国際的な団体がフェアトレードを認証し、マークを付けることを認める制度が必要となってきます。
WFTO(世界フェアトレード機構)、FLO(国際フェアトレード・レベル機構)といった団体が設立され、ラベル付与の基準を作っているようです。
とはいえ、まだまだフェアトレードによる商品流通はごくわずかなものでしかありません。
この後、さらに拡充していけるのかどうか、さらに商品種類も増やしていけるかどうか、難しい道かもしれません。