爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

NATROMの日記より、「子宮がんで人は殆ど死なないのか」

不正確な医学情報や、エセ科学医療などと闘い続けている、内科医NATROMさんのブログに、「子宮がんで人は殆ど死なない」と主張している人を批判されている記事が書かれていました。

d.hatena.ne.jp

様々な病気の死亡率といったものは、数字の使い方次第で印象を大きく変えることができます。

それを使ってトンデモ理論を展開している人々をNATROMさんが批判しています。

 

「肺がんで死ぬのは10万人に80人、約0.08%である。タバコが肺がん死を数倍増やすとしてもたかがしれている」といった主張を散見する。10万人に80人というのはおそらく、日本人男性の肺がん租死亡率からきている。つまり日本人男性10万人につき年間で約80人が肺がんで死亡している。

冒頭に挙げられているのが、肺がん死者の数字です。

10万人に80人、約0.08%という数字、それがたいしたことないと主張する人々がいるそうですが、この数字は引用箇所にもあるように「日本人男性の年間肺がん死亡率」です。

 この数字の分母は、日本人男性全体、幼児から高齢者まで全体の人口です。

そして、記事の次に書かれているように、なんと言ってもこの数字は「一年間」だけのものだということです。

単純に考えても「一生涯に」と考えるならば、これに寿命を掛けなければならず、そうすればこの比率は「約6%」となります。

日本人のがん死亡で最も多いのが肺がんという、一般的な印象とかなり近づきます。

 

それとともに、上記の「日本人男性全体の中での1年間の肺がん死亡率」なるものが、ほとんど実態とは関連しない数字であることが改めて確認できます。

 

次に挙げられているのが、HPVワクチンの副作用の問題でもクローズアップされる、「子宮頸がんの死亡率」です。

反ワクチンを進める側の数字で「子宮頸がん死亡率は4万人に1人」というのもあるそうですが、さすがにこの数字は根拠不明、出処も分からないものですが、ある程度はっきりとした根拠を使っていても、上記の例と同様に、「年間死亡率」などを挙げて、「大したことない」と言いたがる人がいるようです。

 

なお、「子宮頸がんの死亡は”339人に1人”だから大したことない」と言い張る人もいるようで、これなどは数字感覚欠如ということでしょう。

(これも記事中に数字あり;この比率は生涯死亡率であり、年間3000人が死亡しているということ)

 

NATROMさんも最後に強調しておられるように、「リスクを比較するなら同じ指標で行わなければならない。」ということです。

まあ、いい加減な数字を出してでも自分の主張の印象を強くしたいという人もいるでしょうから、見る方が気をつけなければならないのは当然ですが。

問題は、このようないい加減な主張を見て「やはりそうか」と鵜呑みにする人も多いことで、「無責任な拡散」」につながるのでしょう。