爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「宅配クライシス」日本経済新聞社

ネット通販の爆発的な増加で、宅配業者の対応能力を荷物個数が上回り、配達員が休みも取れず、長時間の労働を強いられるなど、運送業の限界が見えてきたような状況になったのは、昨年のことでした。

 

2017年2月23日の新聞には「ヤマト、サービス維持限界、宅配総量抑制へ」という記事が載りました。

1976年のサービス開始時より着実に伸びてきた宅配は、2016年にはヤマトで18億個、業界全体で40億個の荷物を運ぶまでになりました。

 

しかし、インターネット通販の急激な増加で、このようなヤマトを始めとする業界のビジネスモデルが破壊されようとしています。

宅配業、すなわち家の玄関まで、手渡しで届け、届くまでは再配達という、外国からみれば過剰ではないかというほどのサービスを比較的安価で行ってきたものが、不可能になりつつあったのです。

これを「宅配クライシス」と呼びました。

 

その最大の理由はアマゾンなどのネット通販の拡大です。

2007年にアマゾンが会員制サービスを開始し、その後は宅配便取扱数は毎年1割ずつ増加し、15年度には37億個、16年度には40億個となりました。

ヤマト運輸では従業員の負担が限界に来たとして、労使交渉で宅配便数抑制という道を探ります。

アマゾンなど大口顧客へ値上げの要請、それができなければ契約打ち切りというところまで視野に入れての交渉でした。

 

さらに次々と問題が噴出、時間帯指定では昼は廃止、夜も時間拡大、宅配ロッカー設置などの対策も必要となりました。

 

受取人不在の場合の再配達も、その割合が2割に達し、それがますます業務を圧迫しました。

再配達を有料とするというプランも考慮されましたが、それは採用は難しいということになっています。

 

アマゾンはヤマトを使った当日配達は停止、その業務は中小の運輸業者に委託するということにしました。

しかし、その配達業務のレベルはヤマトには遠く及ばず、トラブルが続出だったそうです。

 

ヤマトが取扱総量抑制という中で、佐川急便や日本郵政に溢れた分が流れていますが、そちらの取扱能力も限界に近づき、値上げの動きも出ているようです。

 

宅配クライシス

宅配クライシス

 

 スーパーでの買い物なども宅配へという話は、さすがにやりすぎだろうと思っていましたが、こういった方面から厳しいブレーキがかかったということでしょう。無料のサービスなど無いということだと思います。