ロシアで行われているサッカーW杯で、日本はグループリーグ最終戦でポーランドに敗れたものの、勝ち点が同一のセネガルに対し、イエローカードが少ないという僅差で決勝トーナメント進出を決めました。
まあ、ほとんどの戦前の下馬評ではボロ負けというところから、よくここまで戦ってきたものです。
ただし、ポーランド戦で後半に1点取られて、同時に行われているセネガル対コロンビアの戦いでもセネガルが1点取られていることが分かったため、試合最後の10分間は負けているにも関わらずあえて攻めずに時間を費やすという戦法を取ったということで、国内、国外を問わず、大きな波紋を呼び、批判も相当受けているようです。
まあ、海外メディアの言っていることなど、ほとんどが「つまらない試合を見せやがって」という第三者の勝手な発言ですからどうでも良いのですが、国内の多くの人が思っていることが問題です。
彼らは、一言で言えば次のような考えを持っているようです。
「負けても良いから正々堂々と戦え」
私はサッカー関係者ではありませんが、代わって答えるなら「冗談じゃない、お前に”負けても良い”などと言われる義理はない」ということでしょうか。
日本代表として選ばれた選手を、責任を持って戦わせている監督は「負けても良い」などという言葉を聞く余地はないでしょう。
ワールドカップという、サッカー界の最高の試合で、もっとも良い成績を挙げることが彼らの使命です。
誰もが忘れているか、故意に頭から消しているのかもしれませんが、「日本代表はまだこのワールドカップで優勝する可能性を残している」のです。
それが0.1%の確率であっても、無いとは言えません。
バカな考えで「正々堂々」とやらで戦ってカウンター攻撃を食らって2点めを献上し、予選敗退をしてしまえば、この確率は0です。
なお、このような戦い方を許しているのは、サッカーというスポーツのルールの問題です。
時間制の試合を行う競技にはどうしてもこの問題がつきまといます。
得点だけを競う競技、たとえばテニスやバドミントン、卓球などで、「引き分けを狙って時間稼ぎ」などということがまったく考えられないのですが、サッカーを始めアメフト、ラグビー、ホッケー等々時間がすぎれば勝てるという競技は最後は時間稼ぎということが頻発します。
しかも、今回は勝ち点や得失点差、さらにイエローカード数まで考慮しないと優劣が決められない。これもサッカーという競技の持つ特質でしょう。
そういうものであれば、これらのポイントを正確に判断し、最上を尽くす、これこそが「正々堂々とこの競技を勝ち抜く」姿勢だと思いますが。
このような論争を見ると、先日の相撲をめぐる論争を思います。「負けても良いから正々堂々」? 7勝8敗での負け越しでも地位を下げる力士にはどう聞こえるでしょう。