しばらくぶりに「微生物の話」です。今回は乳酸菌。
なお、以前に微生物の話として「Lactobacillus plantarum」のことを書きましたが、今回はより広く乳酸菌全体の話とします。
乳酸菌は食品にはおなじみの微生物で、酒類でも日本酒には意識的に生育させる場合があります。
しかし、現在はその健康に対しての効果が強調され、ヨーグルトなどだけでなく、乳酸菌が入ったと言われる食品の宣伝も盛んで、中には「乳酸菌入の青汁」なんていうものも流行ってきました。
まあ、ちょっと硬い話にはなりますが、乳酸菌というものがどんなものか、解説してみましょう。
まず、「乳酸菌」と言ってもその種類は非常に多いものです。
糖分を栄養源として、乳酸を作り出すというのが乳酸菌の条件ですので、多種類の微生物がそこには含まれます。
しかし、少なくともそれは「グラム陽性菌」には含まれます。
グラム陽性菌とは、グラム染色と言う細胞染色法によって青または紫色に染まって見えるというもので、細胞膜の構造に由来します。
グラム陰性菌に比べて細胞膜のペプチドグリカン層が厚いと言う特徴を持ちます。
様々な種が含まれますが、納豆菌や肺炎球菌、放線菌などもその一種です。
ウィキペディアによれば、乳酸菌であるという最低条件は次のようなものです。
形態だけ見ても、桿菌も球菌も含まれるということで、広範囲にわたっていることが分かります。
また、ブドウ糖を消費して乳酸を50%以上生成すると言う条件ですが、これは乳酸だけを作り出すホモ乳酸菌と、アルコールや酢酸など他のものも同時に作り出すヘテロ乳酸菌とが含まれていることを示しています。
また、ビタミンB3(ナイアシン)を必須要求ということは、これがなければ生育しないと言うことですが、乳酸菌の種類によっては他にも多くの物質を要求します。
それだけ、生育が難しいということでもあります。
乳酸菌がよく生える環境に、動物の乳がありますが、これには非常に多くの栄養成分が含まれていますので、生育可能であるとも言えます。
主な菌種としては、Lactobacillus, Lactococcus, Enterococcus, Pediococcus,Leuconostoc, Streptococcus, Bifidobacterium等があります。
ヨーグルト製造に使われる菌だけに限ってもLactobacullus以外にも多種が使われています。
利用する際のポイントとしては、これまでは生育のしやすさ、香りや味の良さ、といったものでしたが、最近では健康効果が強いかどうかといったところまで問題とされています。
(その2に続く)