週刊新潮で「食べてはいけない『国産食品』実名リスト」という記事が2週連続で掲載されているそうです。
しかし、その内容は低レベルで、摂取量と危険性との関係も無視し、公的機関の公開データも都合の良いところだけを切り取って使うというもので、実害も無いところを盛んに煽ろうとしているだけというものです。
これについて、FOOCOM.NETの専門家コラムで瀬古博子さんが適切な解説をかいています。
いずれも、一応専門家の出したデータや解説を引用する形にしていますが、それが恣意的に切り取られ、都合の悪いところは無視というものですので、結論がまったく逆というものになっています。
例えば、ハムの発色剤に使われる亜硝酸ナトリウムと、保存料のソルビン酸が反応して発ガン性物質が生成するという問題があり、それについて食品安全委員会が出した文章を引用しているのですが、元の文章では「発ガン性物質が生成される」という内容の文の後に「しかしながら、この結果は特別なin vitroにおける実験条件下で得られたもので、ソルビン酸と亜硝酸ナトリウムが食品中に共存した場合に実際に形成されることを意味するものではないとされている。」とあるのは無視しているために、印象がまったく逆にされています。
また、安全量についても少しでもあれば危険と言わんばかりの書き方で、商品名の実名を挙げての記述となっています。
第2弾の記事も同工異曲で、今度は農水省のホームページから引っ張ってきた文章で、硝酸塩が人体の中で亜硝酸塩に変換されるということを示し、それがニトロソ化合物と反応して発がん物質になると言って、保存料の硝酸塩が危険としています。
しかし、問題の農水省ホームページでは、その文章に続けて「硝酸塩の摂取と発がんリスクの間に関係があるという証拠にはならない」と結ばれているのに、それについては無視です。
なお、この文章は農水省では「野菜に含まれる硝酸塩についての情報」というところにあります。
つまり、「食品添加物」についての情報ですら無いということです。
週刊新潮は同類の週刊誌である週刊文春の連続スクープによる話題集めで、はるかに水を開けられてしまって焦りがあるのでしょうか。
それにしても、このような低俗な記事で人目を集めようというのはちょっといただけません。
まあ、こんな記事を信じて知ったかぶりをしたら、かえって大恥をかくということだけ覚えておいてほしいものです。