爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「そして、アメリカは消える」落合信彦著

少し前になりますが、さまざまなところで名前を聞いた国際ジャーナリストとして活躍していた落合信彦さんの2016年、トランプを選んだアメリカ大統領選最中の著書です。

 

しかし、この本の文章のあまりにも荒っぽいことには驚きました。

オバマを始めとしてアメリカ歴代の大統領や、プーチン習近平を激しい言葉で罵倒しています。

まあ、プーチン習近平はそれも仕方ないことかもしれませんが、アメリカ大統領を罵倒する理由としては、適切な時期に軍事力行使をして世界の警察官たるアメリカの役割を怠ってテロの蔓延を招いたという、いささか時代遅れの価値観から来たもののようです。

 

落合さんも現在76歳、本書出版時は75歳ですから年齢から来る焦りのようなものがあるのかもしれません。

 

かつては世界最先端のジャーナリストとして各国の要人にも直接インタビューを行っていたという方ですが、昔の価値観のまま年老いたということでしょう。

 

ジョン・F・ケネディロバート・ケネディ兄弟の暗殺は、効果的な軍縮を進めようとしたケネディが邪魔となった軍産複合体が手を回して行ったと断定しています。

ベトナム戦争遂行を妨げるためにCIAなどをコントロールしようとしたケネディに対し危機感を覚えたCIAと軍部、軍事産業が暗殺を実行したそうです。

 

その後の11人の大統領はほぼ全部否定しています。

その中でレーガンだけは評価していますが、リビア爆撃の決断などを称賛すると言った内容です。

 

書名を「アメリカは消える」としていますが、この理由を取り違えているようです。

著者の唱えるような、際限ない世界の警察官としての役割を果たしていくことが不可能となったこと事態が「アメリカが消える」理由でしょう。

それを、大統領の不決断のせいにしたところで仕方のないことです。

 

本書出版の時点ではまだトランプ大統領誕生は見えていません。

トランプは金儲けしか頭にない不適格者だという判断ですが、それに間違いはないものの大統領就任からのやり口は著者のお気に召すものでしょうか。

不法移民や難民を忌み嫌っている著者がトランプの言い分を聞いたら評価を変えそうです。

 

というわけで、書名に惹かれて読み出した本ですが、毒気にあてられて辟易しました。

 

そして、アメリカは消える

そして、アメリカは消える