大晦日の除夜の鐘は煩悩の数だけ、108回つかれるということはよく知られていることでしょうが、その「煩悩」というものはどういうものかということは、意外に知られていないのではないでしょうか。
そういった煩悩の数々、臨済宗の僧侶にして大学教授も務められている著者の松原さんが、ご自身の経験や見聞も交えながら一つ一つ解説していきます。
108の煩悩がどういうものであるかということも諸説あるようです。
どれが正しい説かということも無いということですが、6種の根本煩悩に付随する随煩悩を数えて108にするという説が基本ということです。
根本煩悩には、貪(とん)瞋(しん)癡(ち)慢(まん)疑(ぎ)見(けん)の6種があります。
貪は欲しいと思うものに対する強い欲求で、それにまつわる数々の煩悩もあります。
瞋は怒りの炎で、様々なものに対する怒りが溢れてきます。
癡は本当のことを知らずに道に迷うばかり。
慢は色々な面で驕り高ぶること。
疑はこころに浮かぶ様々な疑い。
見は真実と思って間違った見方をしてしまうこと。
著者も禅宗の僧として修行をし、それを広く講演活動として話して回っているのですが、まだまだ煩悩と別れられないと自覚しているそうです。
ご自身はすぐにカッとする性格であることを自覚していますが、講演などでは「ブッダの教えは心のかわかないこと」などといかにも布教師らしいことを言ってしまうそうです。
自分自身「二重人格」ではないかと思いつつも話を続けるそうです。
著者の人柄がよくわかるような挿話で、本書主題の煩悩というものも分かりやすく思えてきます。