爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「聖書でわかる英語表現」石黒マリーローズ著

アメリカやヨーロッパでは現代の新聞やテレビニュースなどでも、聖書のフレーズを使うことが多いようです。

そこには、元の聖書での意味を背景にした表現がなされており、それを知らずに字面だけで訳しているとかなりニュアンスが異なるものになりかねません。

 

著者はレバノン生まれでヨーロッパでも教育を受けたという方で、日本人のこういった面での知識不足は目に余るということでしょうか。

懇切丁寧に解説しています。

 

「It was good」とあるだけなら、非常に簡単な英文で、中学1年の最初に習うような文章ですが、実はこれも聖書の重要なフレーズでありそのことを意識して使われる場合も多いようです。

聖書の一番最初のページ、そこはGenesis(創世記)の第1章ですが、その文章はこうです。

In the beginning God created the heaven and the earth   And God said. Let there be light: and there was light. And God saw the light. that it was good.

(初めに神は天地を創造された。神は言われた。「光あれ」こうして光があった。神は光を見て、良しとされた

これを、英国のタイムズ紙の記者は2000年6月の記事、それも遺伝子操作の内容("genome”に関する)記事に上手く使ったわけです。

 

1999年11月にキューバからアメリカに逃れてきたエリアン君という少年を、キューバに戻すかどうかという裁判があり、それを報じた2000年5月1日のタイムズ紙の記事は

「A turbulent Good Friday ,」という文章で始まっていました。

このGood も、「聖金曜日」の「聖」にあたり、”Holy”という意味であるということが即座に分からなければ記事を書いた人の本当の意図は分からないということです。

GoodFridayはキリストの磔を記念するもので、キリスト教国の多くで祝祭日となっており、そこから復活するEasterまでのHoly Week(聖週間)はキリスト教徒にとって重要な行事となっています。

 

他にも様々なキリスト教の習慣や聖書の表現など、欧米人の文章表現には無意識に使われていることが多いということで、それを知らずに読んでいると意味の取り残しをしてしまうということでした。

 

聖書でわかる英語表現 (岩波新書)

聖書でわかる英語表現 (岩波新書)

 

 まあ、お説ごもっともなんですが、世界言語となっている英語の威力で異教徒にまでキリスト教の知識を強要されているようで、ちょっと引っかかる気もします。

そんなことも知っていなければ英語話者としてはレベルが低いと見られるんでしょうが。