内田樹さんが書かれている「研究室」というブログにはなかなか興味深い内容が多いので以前の記事も読み返していますが、昨年8月の「英語の未来」というものも相当に面白いものでした。
昨年の中央公論に、この内容の記事があり、そこでは私も最近読んだ「日本語が亡びるとき」という本を書いた水村美苗さんがインタビューで重大な指摘をされていたそうです。
それによれば、世界の各地で英語が流暢かどうかで階層化が強まっているということ、そして、日本はごく少数のものを除けば日本語が十分に話せれば良いのではないかということです。
内田さんは第一点には全面同意で、バーナード・ショーのピグマリオン(マイ・フェア・レディの原作)でも英国の内部の話ではあるものの、同様の事態を描写していることを紹介しています。
それと同じことが世界各地で現実化しており、英語が流暢に操れるもの(それは大抵は上層階級です)が訛の強い一般人などを差別するという構造ができているそうです。
第二点は、内田さんは同意したいがまだ状況が不明であるということです。
それは、「自動翻訳」の進展によります。
現在の機械翻訳は「第三世代」ということですが、すでにTOEICで600点くらいには達しているとか。2020年には700-800点になりそうです。
そのアプリをスマホに入れておけば、もはや自分で英語を覚える必要は無くなります。
もちろん、「翻訳者、通訳、外交官」は英語に通じる必要がありますが、そのような人は人口の1%も居るでしょうか。
もしもこれが予想通りに進展すれば、現在の「小学校から英語教育」などという、大量の資金と手間をかけて進められている施策など10年も経たないうちに陳腐化してしまいます。
安心した。もう英語を無理して勉強しなくてい良いんだ。