いつも参考にさせていただいている、渡辺宏さんの「安心?!食べ物情報」ですが、今週の記事では「賞味期限表示」に関して2点の問題が取り上げられていました。
http://food.kenji.ne.jp/review/review943.html
1点は、「賞味期限の年月表示」です。
普通は「年月日表示」であったのですが、これを「年月表示」にしようという動きが広がっているそうです。
もちろん、これは賞味期限の長い食品の場合に限ってのことなのですが、記事中にも触れてあるように、”頭の悪いマスコミ”はこれに対して批判的な記事を書いたり、「アメリカの陰謀」説を流すところもあるとか。
この原因は記事中に触れてあるように「流通小売」の問題です。
十分に賞味期限がある食品であっても、例えば「11月11日」までの賞味期限の食品が入荷した場合、その次に「11月10日」までの賞味期限のものが届いたらその受入を拒絶することが多いとか。
そのために、ある日付の商品を出荷したらそれ以前の日付のものは出荷できなくなるということが良くあるそうです。
これには、消費者の「一日でも新しいものを」という消費行動も関わっており、それに迎合した流通販売業者がそのような行動を取るからということです。
うちの家内もスーパーなどでの買い物では「それが何であっても」一日でも新しいものを買いたがります。まあ消費者としては仕方のない行動ですが。
それらの行動を抑え、不要な商品廃棄を減らすという意味では年月表示もやむを得ないものかもしれません。
もう1点の話題は「賞味期限の安全係数」です。
賞味期限の設定法は、
客観的な項目(指標)に基づいて得られた期限に対して、一定の
安全をみて、食品の特性に応じ、1未満の係数(安全係数)をかけ
て期間を設定することが基本です。
ということです。
すなわち、できるだけ科学的な方法で「いつまでその食品の品質が保たれるか」という期限を調べて賞味期限とするのですが、かならず「安全係数」というものを掛けて決められます。
これは、様々な要因からくるバラツキへの対策としては無くてはならないものですが、この安全係数をあまりに小さく取るのも問題です
つまり、実験的には2年持つものでも、安全係数を0.5として「賞味期限1年」としてしまうことです。
記事中にも、国は0.8以上にさせたいようですが、企業によっては0.5位を採用しているところもあるようです。
この問題は、もちろん食品廃棄の減量という目的のために言われているものです。
私もかつては食品関係企業で品質管理部門におりましたので、この問題は身近なものでした。
企業側から(それも製造部門や品質管理部門)から言えば、この安全係数はできるだけ低い方が安心です。
どうしても、製造技術にはバラツキもありますので、賞味期限設定の際に試験した商品サンプルより傷みやすいものができる危険性はあります。
これは、当然ながら技術力が低いメーカーの場合はより切実な問題となります。(私が勤めていた会社のように)
ただし、企業の中には「お客様のために賞味期限は短めにしています」などとお為ごかしの宣伝をするところもあるので、注意が必要です。
このブログでも何度も言っていますが、「賞味期限はメーカーが自分を守るために付けるもの」です。
消費者もそれを上手く使えば自分のためにもなりますが、あまりメーカーを信じすぎるのも危険かもしれません。