歴史家にして小説家、エッセイストでもある著者が、これまでの暴走し衰退した文明の例をあげ、そしてそれ以上に暴走している現代文明に警鐘を鳴らしています。
そのもっとも危険な状況は「温暖化」であるということです。
シュメール、ローマ、マヤ、イースター島の4つの古代文明はそれぞれ1000年の間に自然の恵みを上回る暴走をして破滅しました。
エジプトと中国はその例外として続いていますが、その様相についても触れています。
我々は、現代文明だけは例外と考える癖がついているようです。
これまでの文明は愚かなために自壊したけれど、我々はそんなことはないと。
しかし、温暖化をめぐる各国の対応を見ていると決してそうではなく、やはり破滅への道を歩いているようです。
アドルフ・ヒトラーは「考えない国民を持つ支配者はなんと幸運なんだろう」と言ったそうです。そのうえ、「支配者まで考えなくなったら」どうなるでしょうか。
歴史については非常に博学多識な著者のようで、その点は興味深く読むことができたのですが、現代文明の危機が「二酸化炭素温暖化」というのはちょっといただけません。
それ以上に危ない問題が、食料供給危機、化石燃料枯渇の危険性、宗教対決、難民問題等々山積です。これを主張して現代文明危機と言ってくれれば素直に納得というところでした。