「インバウンド」という言葉は、最近では「海外から来日する観光客」という意味で使われることが多いようですが、この本では「コールセンターなど電話を受けて色々な対応をする仕事」の意味で使われています。
「アウトバウンド」とは、それに対して自分から電話をしてセールスなどをするような職業のことだとか。
この本も架空の主人公の小説ですので、あまり筋書きについては書きませんが、主役の上原理美さんは沖縄出身、東京の短大に進学して東京で就職し勤めていたものの会社に居づらくなって沖縄に帰る。
しかし、実家を捨てて上京したような過去のために両親に帰ってきたことも言えず一人暮らしで就職先を探し、ようやく某コールセンターに就職し、顧客からの電話に答えるという仕事を始めます。
他のルポなどでも紹介されていますが、こういったコールセンターに勤める人は非正規雇用が多く安月給で厳しい顧客対応をしなければならず、離職率も高い職場のようです。
その中で、上原さんは様々な問題に悩まされながらも仕事を続けていくと言った内容になっています。
著者はこの本を書くに当たり、実際に沖縄に渡りコールセンターの内部も取材、滞在して書き上げたそうです。
そのためか、実在感の強い物語に仕上がっていたように思います。
一種、清々しい読後感を貰えた本でした。