科学全般を誰にも分かりやすく説明しようとして、科学にはまったく素人と見える有名人と、科学者とが対談をして行くという、よくある作りの本です。
素人として出場してきているのが、イラストレーターの南伸坊さん。
科学者の方が、東大の惑星物理学の教授の松井さんということです。
導入部は「血液型性格判断」がなぜ科学的ではないかということから始められています。
これは「科学的には無意味」であることは明らかですが、そこをいかに素人にも分かりやすく説明するかということで科学者の力量が問われます。
「性格というものは脳の中のニューロンの回路の接続の仕方の話なので、血液中のある物質の型がどうこうということが関係あるはずがない」という論理で言い切っていますが、これで「誰にでも判る」かどうかは知りません。
その後は松井さんの専門分野である物理について、時間旅行や宇宙の果て、ブラックホールなど、物理学とSF小説の狭間のようなところを取り上げていきます。
また、日本の現状について、不合理がまかり通る社会になってしまっているという認識から学校教育の失敗についても言及しています。
理数系はやはり我慢して勉強することが必要ということです。
読み終えても、あまり「判ったような気にさせてくれない」ように感じました。