健康法については様々な俗説が出回っていますが、それらについて有名なサイエンスライターの竹内さんが、医師の徳永さん、ヨガインストラクターの藤井さんとともに、指摘しています。
それぞれの専門分野で健康法を取り上げて評し、それについてあとの2人が寸評を書くといった形式です。
竹内さんは第1章で「目に見えぬ科学と健康」と題し、ミネラルウォーター、アルカリイオン水、マイナスイオン等。
徳永さんは第2章で「身近にはびこるマユツバ健康法」で、ブルーベリー、ゲルマニウム温浴、などから漢方薬や整体について。
藤井さんは第3章で「エクササイズと健康」で、部分痩せ、「痩せる」道具、加圧トレーニングからホットヨガや岩盤ヨガなどを取り上げます。
全体を見ての感想は、「実に多くの健康法を、”金儲けの手段として” 多くの人々が売り込み、多くの人々が受け入れているもんだ」ということです。
中には自然発生的なものや、学術的なものから派生したものもありますが、ほとんどは「金儲け」絡みと言えます。
科学者(医師を含む)の弱みは「絶対」と言えないことだと思いますが、専門家ができるだけこういった問題について発言することが必要だと思います。
それでは、取り上げられている健康法の中からいくつか。
フィルター、活性炭、逆浸透膜といったものはどれでも装備しており大差はないのですが、少しでも売上を増やそうとして「活性水素水」とか「マイナスイオン水」といった、科学的にはまったく意味のない文句を並べているものはダメです。
アルカリイオン水は飲んでも意味なし
仰々しく宣伝しているものもありますが、結局は「薄い石灰水」と同じ。一般的に身体に害はないが、特別身体に良いかと言われるとそんなことはない。
ブルーベリーは目に良いか?
「物がよく見える」ということがどういうことかということも、現在の科学ではよく分かっていません。それがアントシアニンという物質だけで「改善される」ということは考えにくいことです。
発芽玄米は身体に良い?
発芽玄米がギャバ(GABA)という物質を多く含んでおり、ギャバは神経伝達物質であるということも分かっています。
しかし、それを多く摂取することが健康に効果があるということは言えません。それをあたかも魔法の物質であるかのように断定する宣伝は怪しいというべきでしょう。
漢方薬は身体にやさしい?
漢方薬も薬品であり、飲み方を間違えれば副作用を起こします。小柴胡湯はインターフェロンと飲み合わせるとC型肝炎を引き起こすことが知られています。
しかし、長年の使用経験があるものは、副作用の出方も分かっているというのは利点です。
部分痩せってできますか?
はっきり言って、できません。
脂肪吸引手術だけはそれに当たるのかもしれませんが、これはその部分の脂肪を削り取ってしまうのですから、部分痩せなどというものではありません。
痩せるときに一番最初に痩せ始めるのは、たいてい「胸」です。そして最も痩せにくいのは「お腹、背中、太もも、腕の付け根」という、多くの人が「一番痩せたい」部分になっています。
こういった「間違った健康法」で商売をしている人があまりにも多数に上ることを思うと暗然としてしまいます。