オレオレ詐欺といった特殊詐欺と言われる犯罪の被害は減るどころかいつまでも増え続けているようです。
その被害者のほとんどは高齢者ですが、ニュースなどで被害事例が報道されてもいつもの「母さんオレオレ」だろうくらいの認識であり、実際に現在の最新の劇場型詐欺グループからの電話などがあればひとたまりもなく引っかかってしまうようです。
そのように、被害者となりやすい高齢者たちと、犯罪者側の情報量の違いは歴然としたものです。
こういった犯罪被害を少しでも減らしたいという思いで、弁護士の間川さんがこれまでに扱った事例をできるだけ分かりやすいように名前まで入れた物語風に作った読み物としてまとめたものが本書です。
なお、オレオレ詐欺などの特殊詐欺ばかりでなく、従来からある伝統的?詐欺から、よく起こりがちな相続をめぐるトラブル、近所のトラブル、金融投資や生命保険など犯罪ではないものも含まれています。
いずれにせよ、そういった犯罪やトラブルの実例というものに疎い高齢者に参考となればということで書かれています。
多くの例がのせられていますが、中でも特に気をつけたいものだけ紹介ししておきます。
まったく利用した記憶のないネットサイトの利用料金の督促をされたという事例は数多くありますので、Hさんは裁判所からの特別送達の封書もそれだと思い放っておきました。
すると、続いて「仮執行宣言付き支払督促」が送られてきました。
架空請求のほとんどは、裁判上の手続きに見せかけて法律上の効果のない手続きをするのですが、中には本当に正式な手続きをする架空請求もあるそうです。
これには弁護士などに力を借りて異議申し立てをしなければならないということです。
なお、そのような架空請求なのになぜ裁判所が認めるのか?という疑問も湧きますが、裁判所はあくまでも「裁判を始める」ということを通知するだけなので、それが架空請求であっても可能なのだそうです。
テレビでよくCMの流れる「誰でも入れる保険」に以前から高血圧で治療していた50歳のMさんは加入しました。
しかしその数年後に高血圧が原因とされる心臓病になり手術をしました。それを保険会社に通知した所、加入時の持病による手術等には保険は支払えないと言われたということです。
「誰でも入れる保険」は「誰にでも支払われる」わけではないということです。
このような事例が世の中には溢れているようです。知らなければいつ自分にも降りかからないとも言えません。何事も知識が大切ということでしょう。
ただし、本当にこういった知識の必要な高齢者はこんな本読まないだろうな。
まあ、高齢者を身内に持つ子供世代が勉強して活かすことでしょう。