爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

福島県産米の放射能検査について、FOOCOM.NET松永和紀さんが福島県課長にインタビュー

FOOCOM.NETに載っていた記事では、福島県が県産米の全量全袋放射能検査を見直すということについて、松永和紀さんが福島県の課長にインタビューしていました。

 

www.foocom.net

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福島県産米の「全量全袋放射能検査」は2012年から始められ今もなお続けられていますが、2015年以降まったく基準値超過は見つかっていません。

そこで、2017年6月に県の担当課長が県議会で検査見直しに着手ということを公表したそうですが、福島県内のローカルニュース以外ではまったく報道されていないそうです。

 

そこで、FOOCOM.NETで松永和紀さんが、その担当課長、福島県水田畑作課長の大波恒昭さんにインタビューした記事が2回に分けて掲載されていました。

 

この検査では最初の頃の数点に基準値超えがあったものの、その後はまったく基準値オーバーどころか検査下限値にも届かないものがほとんどだそうです。

 

原発事故直後の放射線汚染については非常に不安が多かったということで、米についても袋に入れたままの状態で検査できる装置を県内すべてに設置し、その装置数は200台あまりに及ぶそうです。

この装置を使い、県産米はすべて、自家消費の分もふくめて検査するという体制を作り運用してきました。

 

この体制の構築については、関係者の多大な努力も大きかったようです。

まず、検査機器も現場に適用できるような形のものは無かったためにそれを急遽開発し、間に合うようにしたそうです。

ベルトコンベアーで米袋を流しながら検査し、さらに合格したものに合格シールを貼るというところまで自動化しようやく運用可能となりました。

 

さらに、放射性セシウムの米への移行を防ぐということで、カリウム肥料を適正に投与すると言う方策を、農業研究者が見つけたということも大きかったようです。これでこの施肥方法を守っている米には事実上ほとんどセシウム移行はないと言えるようになったそうです。

 

しかし、この検査をこのまま続けていくということは、農家や関係者の手間と努力が大きいだけでなく、費用も相当なものになります。

昨年は検査費用に59億円かかっており、そのうち52億は東電の賠償、7億は国費からの支出なのですが、東電賠償といってもその原資はすでに国費になっているために、実質的にはすべて国から出ていることになります。

 

さらに、この検査機器の耐用年数の限界も迫っており、今でもオーバーホールに年12億かかるものが、2年ほど先には機器の更新も必要となりそうです。

 

全国の消費者の関心も急速に薄れており、放射線検査を実施していることなどほとんど知らないと言う人が多くなってきました。

 

東日本大震災、そして福島原発事故と言うものについての被災者以外の国民の関心はすでに相当薄れています。その中で放射線対応は続けていると言う矛盾は福島県の関係者に大変な苦労を強いているものと思います。

 

検査縮小と言うことには、まだまだ相当な反対意見があるとか。