著者が言いたかったのは、どうやらナチス・ドイツのユダヤ人虐殺などは必要以上に誇張されており、それはイスラエルの宣伝活動によるものだということのようです。
とは言っても、ネオナチなどのように「虐殺は無かった」とまでは言うつもりはないようです。ただし、犠牲者人数などは誇張されているということです。
しかし、そういった主張が出てくるのは巻末の最後の最後。ほんの数ページのことで、本書の大半はナチスの詳細な歴史と、日本側の駐独大使大島浩の物語です。
おそらく、著者の意図としてはナチスの正確な歴史を知ればイスラエルなどの宣伝の矛盾が明らかになるはずということなんでしょうが、どうでしょう。
ナチスはスターリン・毛沢東国家に比べ、戦争犯罪の規模が下回るとされながらも、常に悪の筆頭に挙げられ、研究者によってその目的、犠牲者数にあまりにも差異が見られる。
としているところからも、それが察しられますが。
ドイツの情勢の詳細な記述については触れませんが、日本関係ではいくつか興味深い指摘がありました。
日独伊三国同盟を結んだドイツ側の希望は、あくまでもソ連に対し日本がすぐに参戦することであり、それによりソ連の反撃の余力を失わせ一気に勝利した上でアメリカを片付けるということだったようです。
しかし、日本はその期待を無視しかえってアメリカとの戦争を選んでしまいました。
これはヒトラーにとっても非常に失望したことであり、日本の戦争遂行姿勢を見誤ったところだったようです。
著者の意図の、イスラエルの世論操作という点では、1982年のレバノン侵攻と数多くの国家テロを取り上げています。
そして、それに対する国際社会からの反発を抑えるためにアメリカのアメリカ・イスラエル広報委員会と実施したのが、「シンドラーのリスト」といったユダヤ人のドイツによる虐殺を扱った数々の映画だということです。
ユダヤ人虐殺という歴史を隠すことはできませんが、それを利用している勢力もあるということでしょう。