爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

脱エネルギー社会の構築に向けて(1) まず進めるべきは自動車社会の解体

これまでも現代のエネルギー依存文明から脱却し、脱エネルギー社会を構築する必要性については何度か書いてきました。

 

エネルギー消費量半減のための社会改革 1- 爽風上々のブログ

私の目指す日本 政治とはそれを作り出すもの - 爽風上々のブログ

 

その最大の理由は、エネルギー供給の不安が存在する中では、最悪の状態にでも対処できる方策を取ることがもっとも安全であるからということです。

すなわち、石油などの化石燃料が供給減少に向かう可能性があり、しかも自然エネルギー(この名称は本来は使えませんが)の供給力開発が間に合わない場合は、世界全体を巻き込んだエネルギー争奪戦になる危険性が高く、その場合に脱エネルギー社会に移行できている国や地域は相当有利な地位を保てるからです。

 

もちろん、化石燃料が供給不足になるのはまだ遠い将来にまで伸びるかもしれませんし、それ以前に別手段でエネルギー供給源開発が進むかもしれません。

しかし、そのような僥倖に国の安全を賭けるわけには行きません。あくまでも最悪の状況にでも対処できる方策を取るべきです。

 

また、これを少しでも早く取り組むかどうかが、もしかすると今後数百年間の国の運命を決めることになるかもしれません。

 

ちょっと太り過ぎてダイエットという人は多いでしょうが、この原則として「太った年月と同じくらいのペースで体重を落とすこと」ということがあります。

1年で3kg太ってしまったとしたら、3kg落とすのに1年かけなければいけないということです。

もし、そこら中に蔓延しているCMのように「3週間で10kg減量!」なんていうことをしたら身体に悪いに決っているからです。

 

それと一緒です。ここまで社会全体が石油などの化石燃料依存に陥ったのには少なくとも100年以上の年月がかかっています。

これだけ社会の隅々まで変化させた構造を作り変えるには、同じ年月すなわち100年かかることも覚悟しなければならないでしょう。

だからこそ、今すぐ取り掛からねばならないのです。それでも遅いかもしれません。

 

 

 それではどこから取り掛かるのか。

 やはりここは「自動車社会」の解体ということが必要になってきます。

 

2011年のエネルギーフロー概要を見てみましょう。(資源エネルギー庁HPより)

 

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石油はエネルギー源としてはいまだに非常に大きな部分を占めていますが、その多くは輸送用燃料として使われています。

民生用、産業用エネルギーでは電力使用が多いのですが、これは天然ガスや石炭由来のものが多くなっています。

 

化石燃料削減といっても、もちろん一番急ぐべきは石油依存からの脱却です。そして、今一番石油に依存しているのは文句なしに輸送、すなわち自動車でしょう。

 

そして、それを実施するためにもっとも大きな障害は現代社会が「自動車完全依存社会」であるからです。

私はこれまでも現代文明が「エネルギー依存文明」であると言い続けてきました。

そのもっとも明確な側面がこの「自動車完全依存社会」なのです。

直接的に、自動車メーカーや関連会社、運送会社等に勤務する人はその家族だけでも日本国民全体の数割という割合でしょう。さらに車に依存して業務を行っている人たちはそればかりではないでしょう。ほとんどすべての人が車に依存して生きている社会が日本なのです。(日本だけじゃないけど)

だから、いくら事故での犠牲者が出ても車社会をどうにかしようなどと言えるはずもありません。共同正犯や従犯でしかない、アルコールや認知症てんかん、などに罪を着せるばかりです。

 

これを変えようとしたら、現代社会を根底から変えていく覚悟が必要です。

これまでどおりの社会ではありません。しかし、それが必要なことなのです。

 

 (この項目、しばらく連載します)