この本はかなり古いもので、発行は昭和50年5月、それから程なくして買っていればおそらく私が大学生の頃と思います。
今のように、天気予報が行き届いている時代とは違い、約40年前にはテレビでもニュースの時に一日数回といったものではなかったでしょうか。
またその内容も観測機器の精度もあり、さらに気象衛星の活用も始まってわずかという時期で、かなり現在とは異なるものだったでしょう。
この本はそういった中で、当時の気象庁の予報官であった著者が、初心者向けに天気図から天気予報を見るという方法を解説されているものです。
季節による天気傾向の変化から始まり、気象観測の実際を写真入りで見せてくれます。
さらに、当時の山登りには不可欠であった、(現在でもそうなんですが)ラジオの気象通報から自分で天気図を書いていくという方法も丁寧に解説されています。
登山者にとっては、スマホがあるから大丈夫などという油断はせずに自分で天気図を確認する努力が必要なんでしょう。
初心に帰りこういった本で原点を見直すということも有益なことかもしれません。
さて、この本は昭和50年出版ということですが、そのため使われている実際の天気図がほぼ昭和49年から50年にかけてのものです。
極めて個人的な事情なんですが、ちょうど昭和49年4月に大学に入学し、希望に満ちた(?)学生生活を送っていた当時の日付の天気図が解説されているというのも懐かしい思いでいっぱいです。
例えば、冒頭の「春の天気」では49年3月22日の低気圧で大荒れの天気となった列島の天気図が載せられています。
ちょうどこの時期は大学合格後に入学準備をしていた頃でした。
梅雨明けの天気図としては、49年7月19日のもので、関東から山陰にかけて伸びている梅雨前線がさらに北上し梅雨明けとなるところです。
この頃には大学のクラスメートたちと海水浴に出かけるという時期だったかな。
本書中味の天気図に関するものより、こういった青春の思い出に浸ってしまいました。