爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「デジタルメディア・トレーニング」富田英典、南田勝也、辻泉編

本書は2007年の出版ですので、もう10年前になりますが、その時点はインターネットやケータイなどが爆発的に広まりだしてからおよそ10年が経過した頃でした。

多くの人がそのデジタルメディアの波に飲まれながら、上手く使いこなすというよりは翻弄されているという状況で、どのように付き合っていくかということを整理して見せるという趣旨の本でした。

 

編著者はメディア論、コミュニケーション論などが専門の大学教授などです。若い人向けに例題や実習風に味付けされている体裁となっています。

 

メディアとしては、「ケータイ」(PHSも含む)、「ホームページ」(ブログ、掲示板も含む)、「文化作品」(音楽や小説)、「ビデオゲーム」という枠組みで捉えられています。

まだ、SNSはさほど大きくは広がっていなかったからか、独立して取り上げられては居ません。

 

それぞれのメディアは「敵か味方か」と説明され、敵としての性格、味方としての性格の双方を解析されています。

 

ホームページについての記述は今でもさらに大きな問題となっていることを含みます。

すなわち、そこに書かれていることは決して正しいものばかりではないこと。

(ほとんど嘘ばかりというものもあります)

かつての新聞、テレビなどのメディアは一応それを作り出す編集者があり、またゲートキーパーという記述の間違いを防ぐ機能がありました。

ホームページにはそういったゲートキーパーは無いのですが、それが分からないまま無批判に内容を受け入れてしまう危険性が付きまといます。

 

しかし、ホームページの持つ双方向性というものは、従来のメディアにはほとんど存在しなかった性格であり、これは有効活用すべきものでしょう。

 

 

ネットコミュニケーションについて言えば、当時から大問題であった「出会い系サイト」など、若者に危害が及ぶ可能性のあるものとの付き合い方は今でも同様です。

そこでは「匿名性」というものが作用する状況が、危険にも有益にもなってきます。

 

デジタルメディア・トレーニング―情報化時代の社会学的思考法 (有斐閣選書)

デジタルメディア・トレーニング―情報化時代の社会学的思考法 (有斐閣選書)

 

 この本の出版以降、スマホの普及というまた大きな変化が起きています。ケータイとインターネットがさらに融合したような状況になり、また常にネット接続状態になるという点も大きいと思います。どのような未来が待っているのか。