いつも参考にさせていただいています、渡辺宏さんの「安心?!食べ物情報」今週の記事で、和牛に関する情報あれこれがまとめてあります。
http://food.kenji.ne.jp/review/review911.html
和牛子牛の販売価格が高騰しているとか。
酪農家の高齢化で廃業が相次いでいる他、口蹄疫の影響で殺処分も多く回復していないようです。
子牛育成酪農家は一息つけますが、肥育農家は苦しくなりそうです。
また、最近特に騒々しく言われている「A5ランク」などといった問題は、どうやらかつての牛肉輸入自由化の際に国産和牛の差別化という目的で作られた価値観によるようです。
【引用】
そして決定的な出来事が1990年代に起こる。GATTウルグアイ・ラ
ウンドによる牛肉自由化である。それまで輸入に高い障壁を設けて
いた牛肉市場を、基本的に自由化することとなったのである。欧米
の畜産国から見れば日本の畜産事情はまだまだ中小規模であり、価
格面では太刀打ちできない。ヘタをすれば日本の肉牛産業は壊滅し
てしまいかねない。
そこで、日本の畜産を守ろうとする人たちはこう考えたのだろう
と推察する。
欧米で生産される肉のほとんどが赤身中心の肉である。ならば日
本の牛の基準を霜降り度合いを重視するものにしてしまおう。そう
すれば、黒毛和牛に勝てる霜降りをもつ輸入肉などないのだから、
多くの日本の肉牛農家を守ることができる。赤身中心の輸入牛肉と
直接競合するのはホルスタインと交雑種だが、そこはなんとか生き
延びてもらおう。
かくして、日本の牛肉の評価は、肉質(霜降り度合い)と歩留ま
り(1頭からどれだけの肉が取れるか)の2つに収斂していった。
実はそれまでの牛肉というものはここまでサシの入ったものでは無かったようです。
それでも食事の洋風化の影響もあり、徐々に脂肪分の多いものが好まれるようにはなってきており「霜降り」という言葉は広がっていました。
私も、「霜降り」はかなり以前から聞いたことがありますが、「A5ランク」などという文句はごく最近のように思います。
それがちょうどバブル前後のグルメブームとも重なり、高いものは美味いといった価値観醸成ともあいまって、「A5ランク和牛が味も最高」といったものになっていったんでしょう。
渡辺さんは触れていませんが、ここらへんにはテレビのグルメ番組の影響も強いのでしょうね。
渡辺さんの記事の中にもあるように、老舗すき焼き店でもあまりにもサシの多すぎる牛肉は旨味に乏しいとして使わなくなったところがあるそうです。
せいぜい脂肪分30%程度がもっとも美味しいとか。
食肉類のなかでも牛肉というものは他の鶏肉、豚肉、マトン、馬肉等と比べてもはるかに脂肪分が多くなりやすい肉質だそうです。
そして、牛の中でも特に黒毛和牛という種が霜降り状に脂肪が入りやすい性質があり、そのなかでも現在のA5ランク和牛を産み出している系統の血統がその性質が強かったとか。
こういう風に詳細な説明で、ようやくはっきりと現在の牛肉の状況がつかめました。
なお、我が家では和牛ステーキなどA5どころかはるかに下の等級でも食べません。(買えません)
まあ金が無いというのも主な理由ですが、どうも脂肪分が多すぎるのには舌がついていけないという理由もかなりの部分を占めています。
牛肉をたま~に食べる場合も赤身がたっぷりの海外産肉ばかりですが、その方が肉の旨味が味わえると感じていました。
それに間違いは無かったということが納得できました。