生物の大絶滅と言う事件が、これまでに5回起きました。
その原因は様々ですが、ほとんどの生物が死滅してしまいました。
有名なものは、白亜紀末の6600万年前に小惑星の衝突で起きたと言われるもので、恐竜のほとんどが死滅しました。
そういった大絶滅と同様の事態が現在起きつつあるというのが、「6度目の大絶滅」です。
これには、これまでの5回のような、小惑星衝突や火山大爆発などは関わっていません。
その原因は「人間の大量繁茂」です。
それにより、多くの地域での自然破壊、二酸化炭素排出による温暖化などが起き、生物が住むことができなくなって絶滅していきます。
ただし、巻末の訳者あとがきにあるように、本書はその人類による大量絶滅を食い止めるための処方箋を説くものではありません。
アメリカマストドン、オオウミガラス、アンモナイト、フデイシ、スマトラサイ、サンゴ等々、これまでに絶滅してきた数多くの生物、これから絶滅しようとしている多くの生物を取材した克明な記録であり、それを通して現状を語っています。
とはいえ、読後感は「あまりに冗長」でした。
一つ一つの生物が滅び、またこれから滅びようとしている状況というのは壮大な物語なのですが、そこに至るまでの著者の旅の苦労を一々読んでいくのも苦痛でした。
それだけ読まされて、「ならどうしたら良いの」にはまったく答えないのでは、ちょっと徒労感ばかりです。
なお、現代は地質時代としてはすでにこれまでの「完新世」から「人新世」に入っているという議論がされているようです。
もはや人類の影響はそこまで大きくなってしまっているということなのでしょう。
多くの生物が絶滅してしまうか、その前に人類が自滅してしまうか。どうなるのでしょう。